モーリス・ドリュオン『みどりのゆび』〜それはな、すばらしい素質だよ

みどりのゆび
  • 小学校高学年から大人にもすべての人におすすめ
  • 平和について考える名作
  • 園芸・ガーデニングが好きな人に

自分がなぜここにいるのだろうか?と考えることはありませんか。
いえいえ、若年性健忘症ではありません。(たぶん大丈夫)

自分はここで必要とされているのだろうか?自分の役割はなんだろう?と悩んでいる人におすすめしたいのが、モーリス・ドリュオンの『みどりのゆび』

本の紹介(あらすじ)

この物語の主人公、チトは本当はフランソワ=バチストという名まえですが、みんなからチトと呼ばれています。
かわいい名まえですね。
チトが生まれたミルポワルの町は、世界じゅうに有名な、鉄砲をつくっている町です。とりわけ、チトのおとうさんの工場は、町のじまんの財産でした。つまりチトのお父さんは、町で一番の鉄砲商人なのです。

学校へ行ったチトは、≪ほかのこどもとおなじではないから≫という理由で、学校をおいだされてしまいます。かしこいおとうさんは、チトにあたらしい方法の教育をやってみようと思いつきます。それは、庭やはたけや町や工場が、どんなふうになっているのかじっさいに観察させようというのです。けっこう、画期的じゃありませんか。

そうして一日目、チトは庭師ムスターシュから庭のことを教えてもらうことになりました。そこで、さいしょのべんきょうで、チトは、自分にはとくべつな才能があることを知ります。それは、チトには「みどりのおやゆび」があるということでした。宇宙ものSFではありませんよ。こちら、どちらかというとファンタジーです。みどりのゆびというのは、つまり、めったにないたいへんなことで、とくべつに神さまがくださったすばらしい素質なのです。

みどりのゆびが何なのかは、ぜひ本を読んで確かめていただくとして。このみどりのゆびで、ミルポワルの町には次々と奇跡がおこります…。

学校から、ほかのこどもとおなじではないと言われたチトとまわりのみんなはとても不安で悲しくなります。でも、チトが自分にみどりのゆびがあることを知り、行動したことで、まわりをいい方向に変えただけでなく、自分も自信をもつことができました。自分を知ることは、生きる意味を与えることなのかもしれません。そして、チトが「みどりのゆび」をもっていたように、だれもが自分だけのとくべつな素質がきっとあるはずです。

ブックデータ

単行本: 215ページ
出版社: 岩波書店
ISBN-13: 978-4001141016
発売日: 2002/10/18

もくじ

『みどりのゆび』の魅力のひとつが、もくじです。もくじは文章になっていて、この文章を読むだけで、物語が見えるようでウキウキとします。ぜひ、本文を読む前、読んだ後でも、このもくじをじっくりとながめてみてください。

・チトという名まえの、たいせつないわれ。
・「おとうさん」と「おかあさん」、それからピカピカ家のしょうかい。
・ミルポワルの町と、おとうさんの工場のはなし。
・チトは学校へいきましたが、すぐかえされました。
・ピカピカ家では、しんぱいのあまり、チトにあたらしい教育の方法をこころみました。
・チトは庭の勉強をして、じぶんにみどりのおやゆびがあるのをしりました。
・かみなりおじさんが、チトに規律をおしえました。
・チトがおそろしい夢をみました。その結果は?
…その他

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