著者:河合二湖
出版社: 講談社
単行本: 258ページ
発売日: 2015/3/27
本の紹介(あらすじ)
小春は、ほんわかしていてちょっと天然(←とまわりの子は思っている)。彼氏の六輝(むつき)くんは、そんな小春のことを「可愛い」と言ってくれる。道端の蓮華草で冠を作ってプレゼントしてくれるような六輝は、小春に「そのまま」でいて欲しいと言うが…。
優貴は、モデルの仕事をしているきれいな女の子。大きな車の事故で父を亡くし、体に消えない傷を負った優貴。秘密を抱えているからというだけでなく、「対等な友だち」を見つけられない気がしている。
夢美は、自分が可愛くないことを知っている。一重の腫れぼったいまぶた、性格だってよくない。「ブス」と言われるのにも慣れっこだったけれど、可愛いを磨くように努力しはじめる。
あたしが努力型なら、モデルをやっている優貴さんは天才型だ。すんなり長い手足や綺麗な顔立ちは、まさに天から与えられたもの。(中略)愛らしい小春は天然型かな。亞梨紗は、持って生まれた素材のよさと努力が半々くらいの秀才型ってとこだろうか。残念ながら、あたしはどれでもない。天才や天然や秀才にもそれぞれの苦悩があるのかもしれないけれど、容姿に恵まれている子たちのことは、やっぱりうらやましい。生まれながらの格差に不平不満を言いたくなる時だってある。
野乃は自分の顔が大嫌いだ。お母さんは「可愛い」と言うけれど、自分の顔がポパイに似ていることを知っている。
どんなに勉強もマラソンも努力していい結果を残しても、お行儀良くして、わがままも言わず、周りに親切にしても、可愛くない私が報われることはない。野乃はお金を貯めて、一刻も早く整形手術をしようと考えている。
与えられた姿はどうしようもなくても、せめて性格だけはいい子でいたかった。でも、ようやくわかった。この子の性格のよさをはぐくんできたのは、見た目なんだって。けっきょく、大事なのは見た目じゃないか!
「かわいい」とか「かわいくない」とか、女の子たちはいつも周囲から勝手なランク付けをされる。たかが容姿、けれどそれは、性格を変えてしまうことだってある。だから女の子たちは努力をする。「人は見た目じゃない」なんて言う人もいるけれど、野乃ちゃんの切実な心の叫びに共感する女の子は多いんじゃないかな。容姿の悩みにぶつかったことがない、という女の子はきっといないと思うから。
すべての女の子に読んで欲しい1冊。
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もくじ
第1章 そのままのきみでいて
第2章 美女に腹巻
第3章 エンジェル
第4章 ポパイの憂鬱
国語入試問題に出た本
【2017年】芝中学校
著者・河合二湖
第49回講談社児童文学新人賞を受賞した『バターサンドの夜』でデビュー。中学生の女の子に読んで欲しいおすすめの作品が多いです。