梨木香歩『西の魔女が死んだ』~祖母と過ごした愛しい庭

西の魔女が死んだ
  • 【BOOKS雨だれ】中学生におすすめ50冊!
  • 小学校高学年から大人までおすすめ
  • 第44回小学館文学賞ほか多数受賞
  • 国語教科書でもおすすめ!朝読書や読書感想文にも

魔女修行の日々

「西の魔女が死んだ。」

中学生になってまもなく、学校へ行けないまい。まいは祖母のもとで一緒に「魔女修行」をしながら暮らすことになった。

豊かな自然に囲まれ、あるがままを受け入れてくらすこと。そして、祖母のいう「魔女修行」とは、何でも自分で決めるということだった。

不登校だったまいが自分と向き合い、自然に癒され、自分を見つけていく姿を清々しく描く。
ぺーじをめくってまず最初の一文が「西の魔女が死んだ。」
タイトルと同じこの文章を読んだ瞬間、まだなにも始まってもいないのに、ことばがするりと流れ込んできて、すでに自分が梨木ワールドに引き込まれていると気付く。

学校の中でとまっていたまいの時間が、祖母とくらすことで緩やかに動き出す。風を感じたり影を見つけたりするような、時間の流れが緩やかな小説ほど、「時」を愛しく感じる。

縁側に座り、足元には洗面器にハーブ水を準備して読みたい。私には珍しく、単行本よりも文庫本の表紙の方が好き。
文庫本では、その後のまいの物語「渡りの一日」も収録。

自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、だれがシロクマを責めますか。(本文より)

おすすめポイント(受賞歴など)

受賞歴など

第44回小学館文学賞受賞
児童文学者協会新人賞受賞
新美南吉文学賞受賞

国語教科書で紹介

『西の魔女が死んだ』は小学校・中学校たくさんの国語教科書で紹介されています。それだけ、10代に読んでほしい作品と言えます。

学校図書小学6年生国語教科書で紹介
光村図書小学6年生国語教科書で紹介
教育出版小学6年生国語教科書で紹介
東京書籍中学2年生国語教科書で紹介
三省堂中学1年生国語教科書で紹介

国語入試問題に出た本

私立中学校国語入試問題に出典

【2018年】実践女子学園中学校

映画『西の魔女が死んだ』

2008年6月劇場公開
【監督】長崎俊一
【キャスト】
おばあちゃん:サチ・パーカー
まい:高橋真悠
ママ:りょう
パパ:大森南朋
ゲンジ:木村祐一
【主題歌】手嶌葵「虹」

原作をそのまま映しこんだような美しい庭とふたりのきらきらした時間。原作通りでお気に入りの作品です。
キャストもみなさんイメージにぴったり。ゲンジ役の木村祐一さんは、小説で想像していたよりも”ゲンジ”っぽかった。まい役の高橋真悠さんの表情が好きです。いまはもう女優さんしてないのかな。
見終わった後も心に残り、何度もくり返し会いに行きたくなる、そんな映画です。

著者・梨木香歩

1959年、鹿児島県生まれ。イギリスに留学し、児童文学者のベティ・モーガン・ボーエンに師事。愛読書はガブリエル・ガルシア=マルケスの『百年の孤独』だそうです。

こちらもおすすめ

↓ 同じ作家の本を読みたいなら ↓

『西の魔女が死んだ』が気に入った人はこちらの本もおすすめです。