- 音楽好きな女子高生が主人公
- 音楽・バンドが好きな人に
- 第30回野間文芸新人賞
パンクロックが彼女の日常
アザミは高校3年生。「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」だと考えている。髪を赤く染め、メガネにカラフルな矯正器。
音楽こそはその際に立ち続けていれば世界が吹き込んでくる窓だとアザミは信じていた。それはもう信仰といってもいい具合に。
ヘッドフォンをセットして、いつでもひとりになれる。
音楽さえ聞いていれば自分でいられるし、ちがう自分でもいられる。
あぁ、こういう女の子知ってるなぁ…。
って、わたしじゃん。
ブック・ブレス・ミー!! じゃん。
「音楽について考えることは、自分の人生について考えることより大事やと思う」
本ばっかり読んで、ちょっとイタい自分を重ねて読まずにいられない。
実在する洋楽グループの名前もたくさん出てくるので、音楽が好きな人は楽しめるはず。
そうじゃない人にも。
だれかと分かち合おうなんてこれっぽっちも思っちゃいない、自分の好きななにかに陶酔しているあなたにも。
著者の小説を以前読み切れなかったので、あまり期待せずに読んだのだけれど、こちらはテンポよく読み進められた。文章が、頭の中の言葉のリズムに近い。
川上未央子ほどの難解さはないけれど、彼女の初期の作品のような会話まんまの文章といいますか、声に出して読んだら心地悪そうな文章といいますか。
大阪弁に慣れていないので、読み進めづらいってのもあるのだろうけれど。
新しい感じがします。嫌いではないが、ちょっと慣れない。
映画化して欲しいなぁ。
ブックデータ
出版社 : 角川書店(角川グループパブリッシング)
発売日 : 2011/6/23
文庫 : 243ページ
第30回野間文芸新人賞