ヒトミ先生とひとみちゃん
「南野さんは、ずっと私のことが嫌いだった」
いつだってクラスの中心にいる南野さんのことを、瞳は小学校の時からずっと意識している。たとえ彼女に無視され続け、名前を呼ばれることもないのだとしても。←つまり嫌われてるってわけ
中学一年生の春。
ひとみは保健室でひとりの先生と出会う。その人はゆるい三つ編みをお団子にして、洋風の印象的な顔立ちをしていた。
内側にマーガレットのはいった白衣を着た、彼女は「ヒトミ先生」。
保健の先生ではない、理科の先生。
名乗りもしないのに、ヒトミ先生は入学したばかりのひとみの名前を呼んでくれた。その時、ヒトミ先生は、ひとみにとって特別になったのだと思う。
子どもがいると噂のヒトミ先生。
結婚はしていないヒトミ先生。
「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスに似ているヒトミ先生。
理科の授業中、ヒトミ先生だけをみつめているひとみは、同じように先生をみつめる正木くんに気づく。ある日、クラスメイトがヒトミ先生に仕掛けたいたずらに気づいた正木くんは、クラスメイトを殴ってしまい…。
この日から、放課後の理科準備室で3人だけの秘密の時間を共有する。
自分が相手にとって特別でありたいーヒトミ先生にとっても、南野さんにとってもーのに、思うようにならない苛立ちは時に傲慢さにもつながる。どんなに焦がれても、思い通りにならないことはたくさんある。
同士であり、ライバルであるひとみと正木くん。
ふたりとも、自分が見えていないようでお互いの中に自分の姿はちゃんと見えている。憧れているはずのヒトミちゃんのことが実は見えていなくて、自分中心で空回りしている、恋に恋する思春期らしさがうまく描かれています。
児童書もいいけれど、もう少し掘り下げて純文学で描いてもおもしろそうなストーリー。そしたら映画化してほしいな。
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