乙一『天帝妖狐』

乙一『天帝妖狐』
  • 中学生・高校生におすすめちょっと怖い物語
  • さっくり読める乙一さん第2作目ライトノベル系短編

あらすじとレビュー

「夏と花火と私の死体」でデビューし、17歳とは思えないその作品の斬新な視点と文章力で一気に注目を浴びた乙一さんの第2作短編集。

A MASKED BALL

高校二年生のぼくにとって、学校のすみにあるトイレは絶好の隠れ場所だ。

人の出入りが少ないそのトイレで、ぼくはこっそりタバコを吸っているのだ。ある日、その真っ白なトイレの壁のタイルに「ラクガキスベカラズ」という文字が書かれていた。←それ落書きだろう
そこに、「K.E」「2C茶髪」「V3」と名乗る者たちの落書きが書き加えられていく。そこで、ぼくも匿名で書き込みをはじめるのだが、ある日、落書きにあるような事件が学校で起こり…。

「世にも奇妙な物語」に出てきそうな、ちょっとコミカルでミステリアスな作品です。

天帝妖狐

「鈴木京子様、あなたがこの手紙を読んでいるころには、もう私たちの別れも済んでいるということでしょう。」それは夜木から京子への最後の手紙だった。

とある町。帰宅途中の京子は、道でうずくまり苦しそうにしている青年と出会う。伸びた髪、泥のついた汚れた服、顔全体を包帯で覆い隠している、男は不思議な禍々しさを身にまとっていた。京子は男を家で休ませ、居場所のない男は京子の家に居候することになるのだが、男には人に知られたくない秘密があった…。

謎めいた中に放っておけない哀しさをもつ夜木にどこか惹かれていく京子。

惜しみない優しさを与えてくれる京子に惹かれていく夜木。

しかし、コンプレックスを抱えている夜木は、京子に心を開くことができない。自分の中に巣喰ってしまった獣が見せる世界は残忍で、その苦しみはだれもと分かち合えない。やがて、ある事件がふたりを引き離す…。怪しさと切なさの物語。

ブックデータ

文庫:256ページ
出版社:集英社
ISBN-13: 978-4087473421
発売日: 2001/7/19

著者プロフィール

乙一(おついち)

1978年10月21日生まれ。福岡県出身。

96年、17歳の時に『夏と花火と私の死体』で第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、デビュー。いくつかのペンネームを持ち、ライトノベル、ミステリー、ホラー、青春小説など、さまざまなジャンルで執筆。本名・安達寛高として、映画監督・脚本も務める。

 【主な受賞歴】

夏と花火と私の死体』第6回集英社ジャンプ小説・ノンフィクション大賞

GOTH』第3回本格ミステリ大賞ほか

ZOO』第17回山本周五郎賞候補

『銃とチョコレート』第23回うつのみやこども賞

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