森絵都『つきのふね』

つきのふね
  • 小学校高学年から中学生におすすめ
  • 野間児童文芸賞受賞

女子中学生の未来に希望はあるか

さくらと梨利はまだ中学二年生。未来に希望だって持ちたい。このままずっと一緒だと思っていたのに、あることがきっかけで、ふたりはいま気まずい関係になっている。

それで、さくらはこのごろでは智さんの部屋に入り浸りになっている。智さんは、いつか訪れる人類の危機に備えて、人類を救うための宇宙船の設計図づくりに没頭している不思議な存在。

梨利とさくら、クラスメイトの勝田くん、それから智さん。

純粋で危うい、でも尊い、彼らの青春物語。

森絵都さんの作品の中でいちばんのお気に入り。特に勝田くんのこのセリフ。

ずるいよ、なんか自分だけ不幸みたいで。梨利は人より大変な性分にうまれついたと思ってんのかもしんないけどさ、自分の弱さをこわがってんのかもしんないけど、でもみんな一緒じゃん。だれだって自分のなかになんかこわいもんがあって、それでもなんとかやってんじゃないのかよ。

世の中は生きづらくて当たり前なのかもしれない。

うまくやっていくなんて、はじめから無理なんだよ。

だから無理しなくていい。

ブックデータ

文庫: 224ページ
出版社: 角川書店
ISBN-13: 978-4043791026
発売日: 2005/11/23
受賞歴など
第36回(1998年) 野間児童文芸賞受賞

著者プロフィール

森絵都(もりえと)

1968年生まれ、東京都出身。

早稲田大学第二文学部文学言語系専修卒業。1990年『リズム』で講談社児童文学新人賞を受賞し、デビュー。『カラフル』をはじめ、数々の児童文学を発表。2006年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞受賞。

【主な受賞歴】

『リズム』第31回講談社児童文学新人賞
『カラフル』第46回産経児童出版文化賞
『風に舞いあがるビニールシート』第135回直木賞
『みかづき』第12回中央公論文芸賞

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