江國香織『雪だるまの雪子ちゃん』

『雪だるまの雪子ちゃん』
  • 高学年から読む江國香織
  • 童話のような冬のファンタジックな物語
  • 山本容子さんの装丁もすてきです

大雪の朝に生まれた女の子

その季節にあった本というものがある。冬の乾いた空気とひんやりとした風の心地よさ、キャラメルの甘さが優しいような。江國香織さんの『雪だるまの雪子ちゃん』も、そうした本の1冊。

ぐっと空気が冷え込んできて、いつの間にか「秋と冬の境目」を越えている。ある朝目を覚ますとーだいたいそんな日はふっと目が覚めるのだがー、あたりがしーんと静かで、それはまるで自分のいまいる部屋だけが地球から切り取られどこかの倉庫にでも入れられたのじゃないかと思うような静けさと冷え込みよう。

窓を開けるなくてもわかる。
外に雪が降っているのだ。

こんな日に、どうしても読みたくなるような本が、「雪だるまの雪子ちゃん」

季節が変わるごとにふとページを開きたくなる作品が多いのも、江國香織さん作品のとくちょうのように思う。

雪が降り始めた朝に。
秋の海をながめると。
なにもない暑い夕方に。

たのしくも。せつなくも。

雪子ちゃんは、今ではめずらしい野生の雪だるまの女の子。

おとなりに住む百合子さんやたるさん、それから小学校でであった子どもたちと、寒い冬の日々をたのしく暮らしています。愛らしく、たくましい雪子ちゃんのファンタジックな日々を綴った物語。

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発売日 : 2013/11/28
文庫 : 218ページ
ISBN-13 : 978-4101339276
出版社 : 新潮社

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