薬丸岳『友罪』

罪はいつまでも消えないというが、罪はいつまでも赦されないものなのだろうか。

あらすじ紹介

益田純一は27歳、ジャーナリスト志望だが現実は難しく、寮のある小さな町工場に採用された。同じく入社した鈴木は無口でとっつきにくい男だった。鈴木の部屋からは、毎晩、苦しそうにうなされる声が聞こえてきた。

益田は、かつて救えなかった友人への思いを鈴木に重ねていた。なにかと気にかけてくれる益田に、鈴木も少しずつ心を開きはじめる。やがて、ふたりは互いに友情に似た思いを抱くようになる。

藤沢美代子は、ふたりの働く工場で事務員として働いている。人に知られたくない秘密を抱えていた美代子だが、思わぬところで鈴木に過去を知られてしまう。そのことがきっかけで、ふたりは親密になるが…。

鈴木もまた、人には話せない大きな秘密を抱えていた。

やがて、益田は鈴木の秘密を知ることになる。

鈴木は、十四年に日本中を震撼させた児童殺傷事件の犯人ではないかと疑いを持つ。

もしも、友人が犯罪者だったとしたら。それを過去のこととして許し、何事もないように振る舞えるだろうか。

少年犯罪をベースとした物語だが、この小説のテーマはここにある。友だちとして、友人の過去の罪とどう向き合えるのか。

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友罪
集英社
薬丸 岳

出版社 ‏ : ‎ 集英社
発売日 ‏ : ‎ 2013/5/2
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 528ページ

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