- はがき投稿のあったかさラジオから伝えたい
- ラジオをテーマにしたさだまさしさんの小説
昭和のラジオの世界
あの時代、金はなくても、本当の豊かさがあった。さだまさしさんが描く、ラジオの世界。
みなさんはラジオを聞いていますか?
私は毎週聞いている番組があります。最近はタイムフリーなんていう便利な機能のおかげで、リアルタイムでなくても聞けるようになってありがたいです。いつも家事をしながら聞いています。
さて、ラジオでは視聴率が1%以下の場合、その視聴率の数値を表記しない。代わりに「※」と記入されることから「コメ」と言われる。
そんなコメ番組をたくさん抱えているラジオ局が、この小説の舞台。視聴率0%台のラジオ局・東亜放送である。
若手アナウンサー寺島が新しい企画に提案したのは、「小さな人生をいっしょうけんめいに生きる人たちの、心のつぶやきをひろうような」ハガキでつくる深夜番組の復活。
テーマは「昭和に帰ろう」。
メールやツイッターからの投稿は受け付けません!!投稿は、はがきだけ。
熱い心はあるけれど、スポンサーはなし・・・この番組、ちゃんと放送できるのか!?
放送禁止用語を叫びまくる宗教番組プロデューサー大越さんをはじめ、ラジオを愛する個性的なメンバーが、新しいアイデアを出し合い、わいわいやりながら、いいものを作り上げていくのが、文化祭ノリのようで読んでいて楽しい。
番組内に読まれるハガキがまたいいのです。地味で小さい人生のひとこまだけど、あったかい温度を感させるものばかり。本当にどこかでだれかがつぶやいたようなリアルさがあって、ラジオを聞いたような気持ちになる。おもしろハガキのちょっとしたくだらなさもしっかり味わえます。
You tubeやネット番組ばかり見ているという人が増えていますが、ラジオ番組もいいですよ。ラジオが好きな人は必読です。
本をチェックする
単行本: 320ページ
出版社: 朝日新聞出版
発売日: 2014/9/5
著者・さだまさし
1952年、長崎県長崎市生まれ。10代には作家さんのイメージの方が強いかもしれませんが、作家さんである前にシンガーソングライターであるさださん。山口百恵さんが歌う「秋桜」やドラマ「北の国から」のテーマソングを作った方です。
1973年、フォークソング「グレープ」でデビュー。1976年グループ解散後、ソロ歌手として活動を続けています。さだまさしさんはお話も面白くて「おもしろいおじさん」というイメージがあるのですが、小説を読みその印象ががらりと変わりました。心にすっと入り込み、ぐっととらえる小説の中には、映画化されている作品もたくさんあります。