春は新しい季節のはじまり。「春」の季節を描いたもの、「桜」など春を連想させるものなど「春」をテーマにした10代におすすめしたい本を紹介します。
小学校高学年向け
湯本香樹実『春のオルガン』
朽木祥『引き出しの中の家』
とても小さい人間にそっくりな姿をしているという”花明かり”。花明かりがいると花が見事に咲き乱れ、果実はたわわに実り、緑は濃く深くなるのだという。いつか花明かりに桜を見せてあげたいという七重の願いが、時代を超えて叶えられるのかー。花の咲く季節、きれいな庭を見つけたらそこにはきっと”花明かり”がいるかもしれませんよ。小学校高学年から中学生におすすめ。
「桜の声」~村山早紀『コンビニたそがれ堂』
さがしものが見つかる不思議なコンビニ「たそがれ堂」。街のラジオ局でアナウンサーをしている桜子さんが、たそがれ堂で見つけたのは、ガラス玉の中に本物の桜の花びらが入っているような携帯ストラップ。コンビニを出ると、ふと流れたケツメイシの「さくら」という曲に桜子さんは、田舎の桜を懐かしく思い出しました。このあと、桜子さんに不思議な出会いが訪れます。
アンソロジー『7 days wonder―紅桃寮の七日間』
「紅桃寮」の404号室は「開かずの間」。ここで起こる7日間限定のミステリーというテーマで4人の人気作家が描く短篇アンソロジー。春休み中のできごとを描いた作品が多く、春のイメージ。ミステリーが好きな小学校中学年から高学年におすすめです。
中学生からおすすめ
中学生から大人までおすすめ春の本
重松 清 『季節風 春』
卒業、旅立ち、新しい生活…春を感じさせる重松清さんの短編集『季節風 春』。ほっと心暖かくなり、じんわりと涙を誘う、重松清さんらしい作品ばかり。
角田光代『Presents』
春子は自分の名前があまり好きではなかった。春に生まれたからという理由で名付けられた自分の名前はあまりに平凡で退屈な気がした。生まれてくる子どもに名前を付ける番になり、どんな名前を付けようかと日々考えている春子のもとに、母から古い名前辞典が届くのだが…。満開の桜並木の景色が浮かぶ「名前」をはじめ、新しい生活のはじまりに読みたい短編集です。
瀬尾まいこ『春、戻る』
結婚を間近に控えたさくらの前に突然現れた「兄」と男。さくらには、「兄」などいない。お調子者の男に振り回されながらも、いつか傷ついた心を癒してくれただれかの存在に気づかされる。心あたたまる物語です。
新津きよみ『ふたたびの加奈子』
交通事故で亡くなった幼い娘・加奈子の死を受け入れることができない容子。加奈子の魂は生きているのだと主張するのだが…。読みどころは、満開の桜が浮かぶラストのシーン。花を散らし、また翌年には花を咲かせる桜の花びらの美しさに輪廻転生の不思議さが重なり、胸に迫ります。