中学生・高校生の朝読書で人気なのどんな本〜「『朝の読書』で読まれた本」より

中学生や高校生は、朝読書にどんな本を読んでいるの?みんなが読んでいる人気の本はなに?

株式会社トーハンでは、毎年「『朝の読書』で読まれた本」を発表しています。朝の読書推進協議会が全国の『朝の読書』実践校(小学校、中学校、高等学校)を対象に行っている「学校図書館貸し出しベスト5」の回答をまとめたものです。

このランキングを参考に、朝読書で読まれている本を「人気作家」「人気シリーズ」「やっぱりノンフィクション」「定番のラノベ」「迷ったら本屋大賞」「話題の映画原作・ノベライズ」の6つのポイントに分類して紹介します。

この調査は図書館の貸し出しをもとにしています。ランクインしている作品は、すべて学校図書館で借りることのできる本です。学校図書館の選書の参考にもなります。

※平成27年度から2018年度についての各記事は、こちらのまとめページへ移行しました。

人気作家

朝読書で読まれた本の中から、特に人気のあった作家さんと作品を紹介します。

有川浩

中学生・高校生どちらにも人気の高い有川浩さん。朝読書で読まれた本として8冊がランクインしています。有川さんは、ドラマや映画化された作品が多いのも人気の秘密ですね。特に人気の高かった2作品はこちら。どちらも、きゅんきゅん系です。

図書館戦争シリーズ

ページ数も難しい漢字も多いのに、ここまで読ませるほどに惹きつけるストーリー。有川さんの作品の中でも人気の高い作品。圧倒されるほどの文章量なのに、シリーズを読破、再読する人多く、ファンの心を惹きつける作品です。

植物図鑑

お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか。思わず拾ってきたイケメンとのときめく恋愛小説。映画化でも話題となり、女子にも男子にも人気。この本が好きすぎて、何度も読み返しちゃう人もいるみたい。物語にでてくる植物の写真や巻末には料理レシピもおまけに掲載。イラストもかわいいので、ついジャケ買いしちゃう1冊。

住野よる

デビュー昨「君の膵臓を食べたい」がベストセラーとなり、その後、発表する作品も次々とランクイン。中学生や高校生を主人公にした青春小説も多く、等身大の心を打つ物語が人気です。

特に人気の高かった2作品はこちら。

君の膵臓をたべたい

住野よるさんのデビュー作。コミカライズ、アニメ&実写映画化もされ、ブームを起こした話題作品です。中学生・高校生どちらにも人気。

また、同じ夢を見ていた

友達のいない小学生の”私”が、年齢も境遇もそれぞれちがう3人の女性たちと出会い、”幸せ”について考えるファンタジックでリアルな物語。

東野圭吾

高校生に人気の高いミステリー作家・東野圭吾さん。同じく、ドラマや映画化作品が多く、そこから読みはじめてハマる方が多いようです。ランクインした作品の中では、『ナミヤ雑貨店の奇跡』がおすすめです。

上橋菜穂子

『鹿の王』『獣の奏者』『明日は、いずこの空の下』の3作品がランクイン。ハイファンタジーの世界観にどっぷりと浸かる読書が楽しめます。『明日は、いずこの空の下』は、上橋さんの旅エッセイ。作家になるきっかけともなる高校生のころの旅の話も綴られていて、中学生、高校生におすすめです。

シリーズ作品

毎朝、決まった時間に少しずつシリーズものを読み進めているみなさんもいます。以下、紹介するのは中学生に人気の多い作品です。

「ぼくら」シリーズ

中学生たちが“叛乱”を起こす七日間に及ぶおとなたちとの大戦争。正義とアクション、笑いと勇気のあるストーリーは、ワクワクさせます。

初版の刊行は1985年。これまでに映画化やアニメ化もされ、世代を超えて読まれている中学生のベストセラーです。

ハリーポッターシリーズ

だれもが知っている世界的大ヒットベストセラー。「朝読書に読んだ本」の中で、唯一ランクインした海外作品です。世界的に活字離れが懸念される中、多くの子どもたちからこんほど「読みたい!」と言われる小説はありません。小学生から高校生までリピーターも多く安定の人気。中高生には、静山社より刊行されているペガサス文庫が持ち運びやすくておすすめ。

5分・5分後シリーズ

学研プラスの「5分後シリーズ」、河出書房新社からも「5分」で読めるシリーズなど、5分をキーワードにしたアンソロジーが続々刊行され、中学生、高校生の朝読書の人気本としてランクイン。

朝読書の短い時間で、あっと驚くオチまで読み切れるのがポイント。あまり読書は得意ではない人も、手に取りやすいのが人気なのかもしれません。

青柳碧人『浜村渚の計算ノート』

私のおすすめはこちら。天才数学者が起こしたテロに立ち向かうのは、数学が得意な中学2年生の女の子。数学のおもしろさがわからないという人もぜひ。

やっぱりノンフィクション

朝読書には、ノンフィクション強くおすすめします。朝読書の時間も学習の時間として有効に活用したい!という方は、ぜひノンフィクションを。小説ばかり読んじゃう人も、たまにはノンフィクションも手に取ってみては。きっと新しい発見があるはず。

朝読書に「漫画」は推奨しないという学校もありますが、「科学漫画」や「伝記漫画」はぜひたくさん読ませてほしいです。理科や歴史は、文章よりもメディアから情報を入れる方が理解しやすい人もいます。←たぶん、たいていの人がそう。参考書よりもYouTubeで関連動画を見た方が学習効果が上がるケースもありますよね。

人気のノンフィクションはこちら。

柳田理科雄『空想科学読本』

金の空想科学読本
KADOKAWA/メディアファクトリー
柳田 理科雄 (著)

坪田信貴『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』

田村裕『ホームレス中学生』

ホームレス中学生
ワニブックス
麒麟・田村裕 (著)

衝撃の家族解散宣言をして父は行方不明に。
突然家を失った13歳たむちんの公園ホームレス生活かはじまった。想像を超える過酷な日々を、笑って前向きに生き抜く逞しさでつづる、麒麟・田村の自伝ノンフィクション。

迷ったら本屋大賞

高校生が朝読書に読んだ本の中には、本屋大賞受賞作品も多く見られます。『鹿の王』『羊と鋼の森』『蜜蜂と遠雷』『そして、バトンは渡された』など、読み応えのある作品が読まれています。本屋大賞受賞作品はほとんどがドラマや映画など映像化されており、メディアで紹介される効果は影響は大きいと感じます。本屋大賞の他にも、芥川賞や直木賞受賞作も読まれているようです。心に響く作品をぜひ、手に取ってみてください。

辻村深月『かがみの孤城』

学校にいけなくなったこころの前に、突然現れたかがみの中の世界。そこには、オオカミの仮面をかぶった少女と城のような不思議な建物、そして7人の中学生たち。
決められた期限までに鍵をみつけた者は願いがかなうと、オオカミの少女は言うが…。
うまく居場所をみつけられないという人に読んでほしい。2018年本屋大賞受賞作。

芥川賞も注目

純文学は人気がない?そんなことありませんよ。最近は、話題作として手に取る中学生・高校生も多いようです。又吉直樹さんがデビュー作『火花』で第153回芥川賞受賞して以来、注目されています。

村田沙耶香さんの『コンビニ人間』も読まれています。

コンビニ人間 (文春文庫)
文藝春秋
村田 沙耶香 (著)、文藝春秋 (2018/9/4)

定番のラノベ

ラノベやノベライズは朝読書で人気のジャンルです。特に、中学生・高校生の朝読書でも安定のランクイン作品といえば、こちらの三作品。あまり読まないジャンルでもあり、こちらの三作品もタイトルとなんとなくあらすじは頭に入れているものの、未読ですので簡単な紹介のみ。

「ソードアート・オンライン」

クリアするまで脱出不可能、ゲームオーバーは本当の“死”を意味する―。謎の次世代MMO『ソードアート・オンライン(SAO)』の“真実”を知らずにログインした約一万人のユーザーと共に、その苛酷なデスバトルは幕を開けた。 
個人サイト上で閲覧数650万PVオーバーを記録した伝説の小説が登場。

「カゲロウデイズ」

ニコニコ動画の人気クリエイター・じん(自然の敵P)さんによる、ボカロ曲の世界観を描いたノベライズ。特別な能力を持ったキャラクターたちが事件を解決していくストーリー。小学校高学年から読めるライトノベル。

「キノの旅」

旅人のキノが相棒のモトラド(という乗り物)のエルメスと旅をしながら、様々な国を巡る物語。読んだことはありませんが、小学校図書室でも人気のライトノベルでした。

その他ラノベ

調査にランクインしたラノベは学校図書館で貸し出しのあった作品になります。学校図書館でのラノベの選書について悩んでいる司書さんも多いかと思います。選書の参考に、他にランクインしていたラノベをまとめました。

  • 成田良悟『デュラララ!!』
  • 鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』
  • 佐島勤『魔法科高校の劣等生』
  • 竜騎士07『ひぐらしのなく頃に』
  • 新木伸『GJ部』
  • 丸山くがね『オーバーロード』
  • 葵せきな『ゲーマーズ!』
  • ヤマグチノボル『ゼロの使い魔』

話題の映画原作・ノベライズ

ノベライズとは、映像作品を小説化したもの。映画やドラマで知っている物語は、場面が浮かび読みやすく読みやすいという人も。『植物物語』『君に届け』などの恋愛映画や青春小説の原作、ノベライズが人気のようです。他にも、『謎解きディナーのあとで』(本屋大賞受賞)、「掟上今日子シリーズ」など、ドラマ化されたミステリー作品も人気。個人的には、原作を読んでから映像を観たいタイプですが、みなさんはどうですか。

人気のノベライズはこちら。

新海誠『小説 君の名は』

参考サイト

朝の読書|トーハン