又吉直樹『新・四字熟語』

現世を標榜する新たな四字熟語があって然るべき。

白装束姿で茫然と彼方を見つめる又吉の表紙を見ていたら、気がついた時には、この本を抱えて書店のレジまで小走りしていた。

なるほど又吉さんの目の付けどころは相変わらず独特でおもしろい。くすっと笑えたらいいかなぁなんて軽い気持ちでページをめくりはじめたが、ただ、それだけじゃなくて、「うんうん」「あるある」と真面目に頷かされるものも多かったあたり、自分の精神状態のあやふやさがうかがえる。

■ みょうに納得しちゃうやつ
「微熱逆風」とか「他暴自棄」とか「返事天才」とか

■「あぁ、そうなんだ」ってちょっと私にはわからない世界のやつ
「村肉八分」とか「職質達人」とか

■笑っちゃったやつ
「善行無惨」とか「線香喫茶」とかエッセイなのか創作なのかわからないあたり・・・

なぜ今までなかったんだろうと、頭を抱えて跪いちゃう、四字熟語のオンパレード。

なによりも、田中象雨さんの書が、味わいがあってすごくいいです。←かつて書道の授業でE評価をもらっている私がなに目線で言ってんだって感じですけど。(ちなみに後にも先にも同じ先生からE判定をもらった人の話は聞いたことがない。真面目に書いているのになぜなのか、いまだ謎。むしろ、今更知りたくない)

書も味わいたいなら、文庫本ではもったいないですね。日めくりカレンダーにしたらおもしろいかも。

ちなみに、わたくしの心に一番ささってきたのは、やはりこれです。

「絶命読書」

田中象雨さんの力みなぎる書も素晴らしいです。読書という単語におよそ似つかわしくないような躍動感をもたせちゃうあたり!!

ブラボーです。

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文庫: 260ページ
出版社: 幻冬舎
ISBN-13: 978-4344423008
発売日: 2015/1/14