中学生・高校生におすすめ芥川賞小説9冊

受賞作

純文学の新人に与えられる芥川賞。読んでみたいけれどなんだか難しそう(>_<)と敬遠している人もいることでしょう。中学生・高校生にも手に取りやすい、読みやすい芥川賞作品を紹介します。

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芥川賞とは

芥川賞は、本当の名を「芥川龍之介賞」といいます。通常は略して「芥川賞」と呼ばれています。1935年に直木三十五賞(直木賞)とともに創設されました。太平洋戦争が始まる前からある、歴史ある文学賞です。(第二次世界大戦中は中断されました)

直木賞とともに年に二回発表されます。直木賞が大衆文学に贈られるのに対し、芥川賞は純文学の新人に贈られます。

純文学は使われている言葉が難しかったり、派手なストーリーよりもその文学的芸術性が重視されるため、物語をとらえにくく「結局どうなったの?」「で?何が言いたかったの?」「よくわからない」といった感想を持たれることも少なくありません。黒田夏子さんの『abさんご』のように、「どこでどう区切って読めばいいのよ~」というような難解すぎる文章もたまにありますが、文学のアートと割り切って「読み方」にこだわらずにまず手に取って触れてみてください。また、物語が自分の感覚と通じ合うとは限りません。大事なのは、物語の中に存在する「目線」を意識してみること。いくつも存在する「目線」を探しながら読んでみると、ものの見方が広がるはずです。

中学生・高校生におすすめしたい芥川賞作品をいくつか紹介します。好きな表現や文章が見つかるといいな。

おすすめ芥川賞受賞作

中高生にも読んで欲しいおすすめの芥川賞受賞作はこちらです。

*こちらの記事は随時追加・更新されます。

【第78回】宮本輝『蛍川』

第78回(1977年下半期)芥川賞受賞。

内容(「BOOK」データベースより)ようやく雪雲のはれる北陸富山の春から夏への季節の移ろいのなかに、落魄した父の死、友の事故、淡い初恋を描き、蛍の大群のあやなす妖光に生死を超えた命の輝きをみる芥川賞受賞作。

中学生が主人公、難解な表現もなく、日常を描いた小説として中学生・高校生にも読みやすい小説です。限りある命のきらめきと青春期の普遍的なテーマが描かれています。中学生・高校生に10代のうちにぜひ読んで欲しい1冊。

 

【第130回】綿矢りさ『蹴りたい背中』

(あらすじ)クラスの女子たちの中に馴染めないと感じている高校生のハツ。同じようにクラスの輪の中に入っていない人なら他にもいる。例えば「にな川」。ある日の理科の授業中、「にな川」がモデルのオリチャンのファンであることを知り、そのことがきっかけでふたりの距離は近くなるのだが…。

受賞当時、史上最年少となる19歳での芥川賞受賞となりました。好意と拒絶の感情が同居する思春期の少女の矛盾した愛着を描きます。リズミカルで物語に引き寄せられていく書き出しは秀逸。

【第153回】又吉直樹『火花』

第153回(2015年上半期)芥川賞受賞。

内容(「BOOK」データベースより)
売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。

これまでに一番売れた芥川賞受賞作。お笑い芸人・ピースの又吉直樹さんの芥川賞受賞のニュースは日本中の話題となり、この受賞がきっかけではじめて純文学を読んでみたという人もたくさんいます。「最後まで読めなかった」という人もちらほらいらっしゃいますが、「読んでみたい」と思える本がそこにあることは素晴らしいことです!話題作だからといって、読んでみていいのです!いまは読み切れなくても、いつか読める日が来るかもしれませんよ。と、又吉さんが著書『夜を乗り越える』でも語っております。映画化も決定!平成27年度の調査では、高校生が朝読書で読んだ本第2位に!

【第38回】開高健『裸の王様』

第38回(1957年上半期)芥川賞受賞

 

(内容紹介)とつじょ大繁殖して野に街にあふれでたネズミの大群がまき起す大恐慌を描く「パニック」。打算と偽善と虚栄に満ちた社会でほとんど圧殺されかかっている幼い生命の救出を描く芥川賞受賞作「裸の王様」。ほかに「巨人と玩具」「流亡記」。工業社会において人間の自律性をすべて咬み砕きつつ進む巨大なメカニズムが内蔵する物理的エネルギーのものすごさを、恐れと驚嘆と感動とで語る。

芥川賞受賞作の「裸の王様」の主人公は、小学生の太郎くん。父親は玩具メーカーの社長であり、不便のない生活を送りながら、どこか子供らしさに欠けている。「ぼく」の絵画教室にやってきた太郎くんが、経験を通じて自信と感性を取り戻していく様子は、子どもが本来持っているはずの瑞々しさや生命力の強さを感じます。

【第39回】大江健三郎『飼育』

第39回(1958年上半期)芥川賞受賞

(内容紹介)屍体処理室の水槽に浮き沈みする死骸群に託した屈折ある抒情「死者の奢り」、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌「他人の足」、黒人兵と寒村の子供たちとの無残な悲劇「飼育」、バスの車中で発生した外国兵の愚行を傍観してしまう屈辱の味を描く「人間の羊」など6編を収める。学生時代に文壇にデビューしたノーベル賞作家の輝かしい芥川賞受賞作品集。

ノーベル賞作家の濃厚な圧倒的筆力!湿度と粘り気を含む空気の重さ、生きるものの発する匂いを感じさせる文体。何度も読み返し、反芻しながら文字を飲み込んでいくような読書体験が味わえます。「飼育」では、村に飛行機が落ち現れた黒人兵を捕虜とした少年の誤算が描かれています。

【第116回】辻仁成『海峡の光』

第116回(1996年下半期)芥川賞受賞

廃航せまる青函連絡船の客室係を辞め、函館で刑務所看守の職を得た私の前に、あいつは現れた。少年の日、優等生の仮面の下で、残酷に私を苦しめ続けたあいつが。傷害罪で銀行員の将来を棒にふった受刑者となって。そして今、監視する私と監視されるあいつは、船舶訓練の実習に出るところだ。光を食べて黒々とうねる、生命体のような海へ……。

 

【第115回】川上弘美『蛇を踏む』

第115回(1996年上半期)芥川賞受賞

ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。
蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった。「踏まれたので仕方ありません」人間のかたちが現れ、人間の声がして、蛇は女になった。
 川上弘美さんの描く物語は、どこか不思議でファンタジック。足元がふわふわして、こんな世界もあるかもしれないとすんなり受け入れてしまいたくなる緩やかさがあります。純文学をあまり読まないという人にも、読みやすいと思います。

 

【第155回】村田沙耶香『コンビニ人間』

第155回(2016年)芥川賞受賞。

(あらすじ)古倉恵子、36歳。大学卒業後就職もせず、コンビニアルバイト歴18年。未婚。マニュアル通りのコンビニバイト生活に安定を感じる主人公だが、そんな彼女の生活を批判する男がバイト新人としてやってくる。しかしこの男もまた、婚活目的でコンビニバイトを始めるというパラサイトシングルだったりして…。

コンビニでアルバイトをしながら書き上げたという一風変わったエピソードでも知られるこの作品。ぐいぐいと攻めた挑戦的な作品から「クレイジー沙耶香」とも呼ばれている村田沙耶香さんですが、私はお気に入りの作家さん。独特な作風が「苦手(>_<)」という方もいらっしゃいますが、こちらは読みやすく、わかりやすく(彼女の作品はいつもわかりやすいけれど)、中学生からおすすめできる小説です。ルールがないようでルールがあるらしいこの社会に戸惑っている人に手渡したい本。

【第138回】川上未映子『乳と卵』

第138回(2007年下半期)川上未映子『乳と卵』

初潮を迎える直前で無言を通す娘と、豊胸手術を受けようと上京してきた母親、そしてその妹である「わたし」が三ノ輪のアパートで過ごす三日間の物語。三人の登場人物の身体観と哲学的テーマが鮮やかに交錯し、魅惑を放つ!

この小説がはまるのは圧倒的に女の子だと思います。わたしたちには抗いようのない「性」があり、それをどのように受け入れていくかは「自分」をどう受け入れていくかという人生観にもつながります。言葉を話さず筆談する少女とまるで洪水のように言葉があるれ出る文体のギャップと独特のリズム。「読みづらい」と言われる川上さんの初期作品ですが、そこにも著者の思いが込められているのでは?と考えると、それを解明してみるのも面白いのではないでしょうか。

芥川賞候補作よりおすすめ

そのほか芥川賞受賞作・候補作より、こちらの本もおすすめです。

第157回芥川賞候補作 今村夏子『星の子』

第155回芥川賞候補作 今村夏子『あひる』

第150回芥川賞候補 岩城けい『さようなら、オレンジ』

 

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