かつて私をいじめていた男との再会は~辻仁成『海峡の光』

海峡の光
  • 北海道・函館が舞台に描く
  • 第116回芥川賞受賞作

 あらすじとレビュー

北海道・ 函館を舞台に描く、辻仁成の芥川賞受賞作品。
青函連絡船に客室係であった<私>は、連絡船の廃止に揺れていたころに船をおり、今は函館少年刑務所で働いている。
そこへ一人の男が、府中刑務所から移送されてきた。知っている男だった。
男の名前は花井修。花井修は、かつて小学校時代のクラスメイトであり、<私>は花井から苛めにあっていた。花井の苛めは巧妙だった。優等生で人望も厚い花井は、<私>を貶めることによって、それと気づかれないように教室の中にヒエラルキーを作り上げることに長けていた。

かつて自分を貶めていた少年は、囚人となって看守である<私>の前に現れた。
ざわつく心は、大人になっても癒えていない傷がもたらすものなのか。
短くも、強い影を落とすような、心に残る作品。

作家・辻仁成

1959年10月4日。ロックバンド「ECHOES(エコーズ)」のボーカリストとしてデビュー。ミュージシャンとして、あるいはこのごろでは中山美穂さんの元・夫というイメージが強いかもしれませんが、辻仁成さんは芥川賞受賞している作家さん。

バンド解散後、1989年に『ピアニシモ』で第13回すばる文学賞芥川賞を受賞し、作家デビュー。『母なる凪と父なる時化』で第110回芥川賞候補、1997年『海峡の光』で第116回芥川賞を受賞。

*辻仁成さんおすすめ代表作*

『ピアニシモ』/『母なる凪と父なる時化』/エッセイ『そこに僕はいた』

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受賞歴など
 第116回芥川賞受賞作

舞台原作
「海峡の光」は、中村獅童さん、片桐仁さんが出演して舞台化されています。獅童さんが花井役、片桐さんが「わたし」。中村獅童さん、作品のイメージにぴったりです。

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発売日 : 2000/2/29
文庫 : 167ページ
ISBN-13 : 978-4101361277

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