- だれにも語ろうとしなかった祖父の戦争の物語
- 『戦火の馬』のマイケル・モーパーゴがおくる珠玉の短編。
- 小学校高学年から。読書感想文にもおすすめです。
辛く悲しい記憶をそっと胸に秘めて、だれにも語ろうとしないことは珍しくない。悲しい記憶を語ることは、その時の辛かった気持ちを掘り起こすことだから。だからそっとしておいてあげたい。でも、だれか聞いてくれる人がいれば癒される思いもある。
だれにも語ろうとしなかった祖父の戦争体験

マイケルの祖父には家族のだれにも語ることのない秘密があった。
祖父の片手は三本の指が半分しかなくて、もう片方は親指だけ。
上唇はないのと同じで、片耳はただの穴だった。
祖父の濃い青い目が、まばたきをすることはほとんどない。
幼いころからマイケルは、ずっと祖父の秘密を知りたいと思っていた。しかし、一方で祖父の秘密に触れることはタブーだった。
第二次世界大戦中、祖父の乗っていた商船は魚雷を受けて沈没した。祖父は大やけどを負ったが、一命を取り留めた。ぼくが知っているのはそれだけ。
そこで祖父にどんなことがあったのか。
12歳になったときの夏休みのこと。
祖父は船が沈んだ時の話をマイケルにそっと語りだした。
戦争が祖父から奪ったものはなにか。
多くの本から戦争のことを学ぶことはできるが、マイケルは祖父の悲しみに直接触れることでその深さを知る。
小さな絵本ですが、よみきかせするには少し長い内容です。
小学校高学年から中学生に、手に取って読んで欲しい本。
著者のマイケル・モーパーゴは1943年、イギリス・ハートフォード州生まれ。小学校教師を経て作家になり、多くの児童文学小説を発表しています。
第一次世界大戦を舞台に描いた作品も多く『戦火の馬』や『兵士ピースフル』は中学生・高校生にも読んで欲しい本。
ブックデータ
単行本: 53ページ
出版社: あすなろ書房
ISBN-13: 978-4751527535
発売日: 2015/2/25
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