クリーム色の背景に教会のイラスト、シンプルな表紙が綺麗ですよね。
そもそもは別冊文芸春秋で音楽と学校を二本柱にした短編集のシリーズのひとつ。
この作品、1冊丸ごとストーリー。短編ではありません。
書いているうちに、掌編・短編・中編・長編となった、著者曰く珍品シリーズ。単行本化するにあたり2冊に分けられ、長編となった本作はそのうちの1冊。
音楽をテーマにした本はよく読むが、オルガンを主役にした作品ははじめてかもしれない。作品中には、教会全体がまるで楽器のような本格的なパイプオルガンが出てくる。
いつかテレビで見たことのある映像を思い浮かべながら読むが、きっと正確な音色までは想像で再現することはできていないだろうが、と思いながら。
吐き出せないいろんな思いを抱えている「いい子」の俺。
オルガンと向き合うことで、自分と向き合い成長していく。
ストーリーも、もう少し深く読みたかったなぁという感じ。
俺の心の揺れがもっとあるはずじゃないかなぁと思うのですが、そこがあんまり読めなかったのが残念。結局、最初から最後まで「いい子」のまんま、あまり変わってないような気もするし。ストーリとしてはおもしろかったです。もっと、長編にしてでもじっくり読ませる作品にもなり得たかも。
本を閉じると見える、裏表紙のオルガンのイラストがとてもかわいく、気に入っています。
音楽をテーマにした中学生ものがたり
*おすすめポイント*
◇中学生が主人公
◇第57回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(中学校の部)
でもこの作品で読書感想文は書きづらいかもしれない。
◇音楽をテーマにした本
◇パイプオルガンが出てきます
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