- 宮部みゆきが描くライトミステリー
- 財布が物語る事件の真相とは!?
財布で性格がわかる?
みなさんはどんなお財布を使っていますか?
長財布?
二つ折り?
ファスナータイプ?
いろんなタイプがありますが、実は財布は持つ人の性格をよく表しているって知ってました?
例えば、長財布を使っている人は、自分がまわりからどう見られているか気にかけているタイプ。オシャレで几帳面な人と言えます。
二つ折り財布は、見た目よりも使いやすさや機能性を重視するタイプ。外見より性格重視のしっかりもの。 お札の向きをそろえるなど、お財布の中がしっかり整理されている人は、自分のコントロールがきちんとできている人。
お財布の中がレシートやカード類でパンパンの人は、不測の事態に備えておきたい心配性な人とも言えます。
毎日持ち歩き生活に密着しているお財布は、その人の暮らしぶりや考え方が強く反映されるのでしょう。
そんな「お財布」が事件の謎を解くちょっと変わったミステリー小説が、宮部みゆきさんの『長い長い殺人』です。
この物語には10個の財布が登場します。
あらすじ
それぞれ、ある事件と関わりの持ちを持ってしまった10人の登場人物たちの持ち物として、財布たちは自分のみた事件の側面を語ってゆきます。
事件の発端は、ひとりの男性のひき逃げ事件。
森本隆一、三十三歳。落ちていた財布には、運転免許証とお金が入ったまま。 亡くなった森本には、八千万円もの生命保険が掛けられていた。受け取り人は妻の法子。
事情聴取をはじめた刑事は、夫を轢いた
人物について尋ねない妻の法子に違和感を覚える。しかし、法子には完璧なアリバイがあった。だれか共犯者がいるのではないかと疑う警察、やがて法子の愛人の存在が明らかになるのだが…。
事件を担当する刑事、男がお得意様として通っていた飲み屋の女性、とある探偵依頼を受けた探偵、とある高校教師…財布たちが語る事件につながる真実とは!?
事件につながる10人たちといつも行動を共にしている財布たちは、それぞれ、持ち主たちのように個性を持ち合わせている。
持ち主の懐事情も、だれにも見せないため息も知っている彼らだけが知る事件の側面から、バラバラだった鍵がひとつにつながっていきます。
持ち主の性格が財布たちが見た真実とはなにか?
財布の持ち主たちのたどる運命は!?
ある時は母のように、ある時は姉妹のように、持ち主たちを見守る財布たちが事件の真相をあばく。
中学生におすすめライトミステリー
ミステリー小説が好きな小学校高学年・中学生から読めるライトミステリーです。 ページ数だけ見ると長い物語ですが、財布たちがそれぞれ違った物語を語るので飽きることなく、ひとつの物語が事件にどうつながっていくのか気になり、次々ページをめくってしまいます。10個の財布のうちのひとつには、小学六年生の少年・雅樹の財布も出てきます。 とある女性を守ろうとする雅樹の行動は、一見して事件とは無関係ですが、これがどのようにひき逃げ事件の解決につながっていくのか注目して読んでみてください
ブックデータ
文庫: 413ページ
出版社: 光文社
ISBN-13: 978-4334749712
発売日: 2011/7/12
著者プロフィール
1960年生まれ、東京都出身。
法律事務所に勤務ののち『我らが隣人の犯罪』でオール読物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。
『理由』第120回直木賞受賞、『模倣犯』で第52回芸術選奨文部科学大臣賞受賞など多数の文学賞を受賞のほか、「このミステリーがすごい!」第1位も多数獲得している日本を代表するミステリー作家のひとり。