福田隆浩『ブルーとオレンジ』~ぼくならどうする?

『ブルーとオレンジ』
  • おすすめ:小学校高学年向け男子にも女子にもにも
  • なんだかいじめが起こりそうな時、ぼくならどうするだろうか

本の紹介

教室の中には、目には見えないカースト制度がある。

カースト制度っていうのは、力関係のこと。

ごくごくふつうの小学5年生の男の子ブルーと、ごくごくふつうにしたいと思う女の子オレンジ。ふたりはクラスメイト。

スポーツが得意、頭がいい、おもしろいとかクラスで人気のある人がそのカーストのトップにいる。なぜか怖い人とか意地悪な人が、このトップにいることも多いんだよね。

トップにはいない自分が、どのポジションに立つべきか見極めることは、教室の中で最重要課題といえる。目には見えない力関係の流れに、のるか、のらないか、気づかないか←この人はある意味しあわせ。
それはそのまんま、「やるか」「やられるか」「はじかれるか」につながる。

「いいかえしたいことが山ほどあった。でもいえなかった。心の中で考えたことは、いざ口から出そうとすると、どこかに吸い込まれていくんだ。ビューンてね。それに、八木沢くんが、ぼくの話を聞いてくれるはずがないってことはもうわかってた。だってさ…ぼくはピラミッドの下のあたりにいる人間なんだよね。」とブルーは言う。

「だって、クラスのなかでの峰岸さんの存在っていうか影響力はすごいもん。みんながみんな、いつも彼女の顔色をうかがってるんだからね。こんなのって、以前はなかったと思うなあ。でも高学年になってみて、気がつけばそうなってたの。力関係が決まってしまったっていうか、そうなったらもうなかなかさからえないっていうか……。」これはオレンジの言い分。

クラスの中に流れ出すなんとな~く居心地の悪いあの感じ、そう、いじめが始まりそうな空気があらわれはじめたとき、ふたりはどんなことを思い、どんな行動をとるのか?ブルーとオレンジ、それぞれが語る章で書かれているので、男の子、女の子、どちらの考えも見えるよ。

同じような経験をしたことがある人には、共感できるところがあるはず。

もちろん、そんなカースト制度はないほうがいいに決まっているけど、いじめが一向になくならないという現実は、カーストの存在を安易に物語っていると思うんだよね。どうしたらいじめをなくすことができるかって?そんなの簡単。

このカースト制度を崩壊させればいいのよ。

著者・福田隆浩

1963年、佐賀県生まれ。長崎県に在住。
特別支援学校教諭として勤務のかたわら執筆した『この素晴らしき世界に生まれて』が、第2回日本児童文学者協会長編児童文学賞受賞し、デビュー。小学校高学年におすすめの児童書をたくさん刊行しています。

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著者:福田隆浩
出版社: 講談社
単行本: 226ページ
発売日: 2014/7/2

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