少年少女のためのブックリスト:夏を読む

夏を描いた夏に読みたいおすすめの本を紹介。読書感想文の本選びに迷ったらここから選ぶのもいいかもね。小学校高学年→中学生→高校生におすすめの本の順番で並んでいます。学年は目安です。
*こちらの記事は随時、更新・加筆しています。

小学校高学年から~夏の本

『夏の庭―The Friends』湯本香樹実

小学校高学年から大人まで、夏のおすすめ本といえばこちら。

自分が生きているということ、いつかは死が訪れること。人は「死」を意識するとき、はじめて「生きること」について考えるのかもしれません。

人の死に興味を持つ小学生たちが主人公だなんてドキッとしますが、彼らはごくふつうの少年たち。湯本香樹実さんのゆるやかで丁寧な文章は心にすっと入り込みます。

世界中で翻訳され読まれている良書です。まだ読んだことがないという人にも、ぜひ一度手に取って欲しいです。夏になると読みたくなる1冊。

『虹色ほたる―永遠の夏休み』川口雅幸

小6のユウタは一人、亡くなった父との思い出の地である山奥のダムを訪れていた。ところが突然の雷雨に襲われ、足を滑らせ気を失ってしまう。やがて目覚めたユウタの目の前には、ダムに沈んだはずの村が…。タイムスリップした1970年代の村で、ユウタは同い年の少年ケンゾーと、妹のような女の子・さえ子と出会う。失われゆく日本の原風景とともに、少年の最後で最高の夏休みがはじまった!誰の心にもある永遠の夏休みを描いた、懐かしくも切ない感動ファンタジー。

『ぼくらのサイテーの夏』笹生 陽子

一学期の終業式の日、ぼくは謎の同級生、栗田に「階段落ち」の勝負で負けた。ケガをしたうえ、夏休みのプール掃除の罰まで下された。よりによって、あの栗田とふたりきりで…。サイテーの夏がはじまった。第30回日本児童文学者協会新人賞第26回児童文芸新人賞ダブル受賞作。

図書館で借りてきたこの本の中に、いつか書きかけの読書感想文の下書きを見つけました。だからでしょうか、「読書感想文」というとこの本を真っ先に思い浮かべます。
毎日一緒にプール掃除をするうちに、はじめはよく知らなかった栗田のことが少しづつわかってきます。ふたりの距離が近くなるにつれて少しづつ変化していくぼくの心を読み取ってみてね。女の子には『わたしの苦手なあの子』もおすすめです。

『川の名前』川端裕人

菊野脩、亀丸拓哉、河邑浩童の、小学五年生三人は、自分たちが住む地域を流れる川を、夏休みの自由研究の課題に選んだ。そこにはそれまでの三人にとって思いもよらなかった数々の驚くべき発見が隠されていたのである。ここに、少年たちの川をめぐる冒険が始まった。

川のことを調べるうちに、三人はある不思議な生き物を見つけます。わたしも思わず「えっ⁉」と驚きました。その生き物との出会いこそが、冒険のはじまりでした。

子どものころ、近所の小さい川で遊んだ記憶があります。このごろは、川遊びをする子どもたちは少なくなったような気がしますが、安全に配慮すれば最高に涼しい夏の遊び場であり学びの場にもなります。日本は川の多い国です。川のことをもっと知りたい!と思う夏らしい1冊です。

『クローディアの秘密』E.L.カニグズバーグ

少女クローディアは,弟をさそって家出をします.ゆくさきはニューヨークのメトロポリタン美術館.2人は,ミケランジェロ作とされる天使の像にひきつけられ,その謎を解こうとします.

わたしの一番お気に入りの家出小説です。ともかく退屈でなにか面白いことをしたいという人におすすめだよ。クローディアが家出した先はメトロポリタン美術館!お客さんが帰ってしまった後の美術館をひとりじめ(弟とふたりじめかな?)できるなんて、すごい楽しそうでしょ。

『ぼくらの七日間戦争』宗田治

夏休みを前にした、1学期の終業式の日、東京下町にある中学校の、一年2組の男子生徒全員が、姿を消した。いったいどこへ…?FMラジオから聞こえてきたのは、消えた生徒たちが流す“解放区放送”。彼らは河川敷の廃工場に立てこもり、ここを解放区として、大人たちへの“叛乱”を起こしたのだ。PTAはもちろん、テレビや警察、市長選挙汚職事件までも巻き込んだ、七日間に及ぶおとなたちとの大戦争。中高生たちの熱い支持を受けつづける大ベストセラー。

高学年から中学生・高校生まで人気のシリーズ。おうちの人も「10代のころは読んでいました」という方も多いはず。大人への反抗心を行動力に変えて実行する彼らの勇気にハラハラドキドキします。朝読書でも人気です。

椰月美智子『しずかな日々』

おじいさんの家で過ごした日々。それは、ぼくにとって唯一無二の帰る場所だ。ぼくは時おり、あの頃のことを丁寧に思い出す。ぼくはいつだって戻ることができる。あの、はじまりの夏に――。おとなになってゆく少年の姿をやさしくすこやかに描きあげ、野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞した感動作。

ゆるやかであたたかくて、歩く速度のように紡がれていくような、この小説のペースが大好きです。淡々と過ぎる日々は、小学生・中学生には面白味がないように映るかもしれませんが(;^ω^)中学・高校入試問題にもよく出典される小説です。

森浩美『夏を拾いに』

「お父さんが小学生のときはな……」父が息子に誇りたい、昭和46年のひと夏――小五の文弘は、祖父から町に不発弾が埋まっている話を聞く。様々な家庭の事情を抱えた仲間四人で、不発弾探しを始めるが・・・。

お父さん息子に語り聞かせる、子どもの頃のひと夏の冒険。4人の少年たちは町のどこかに埋まっているという不発弾を探します。宝ものが不発弾だなんて物騒な気もしますが、男子はこういうの好きですよね。
昭和の懐かしい風景が浮かぶ小説です。暑い日差しのなかを駆け巡る少年たちの冒険物語は、親子で読む読書にもおすすめですよ。

中学生から~夏のおすすめ本

『泣けない魚たち』阿部 夏丸

僕にザリガニの味を教えたのは、6年生の春に転校してきたこうすけだった。クラスの誰ともしゃべらないこうすけと僕の間には、2人だけの秘密があった。ひと夏を共に過ごし、成長する少年たちの姿をみずみずしく描く表題作ほか2編を収録。坪田譲治文学賞、椋鳩十児童文学賞をダブル受賞したデビュー作。

『サマータイム』佐藤 多佳子

佳奈が十二で、ぼくが十一だった夏。どしゃ降りの雨のプール、じたばたもがくような、不思議な泳ぎをする彼に、ぼくは出会った。左腕と父親を失った代わりに、大人びた雰囲気を身につけた彼。そして、ぼくと佳奈。たがいに感電する、不思議な図形。友情じゃなく、もっと特別ななにか。ひりひりして、でも眩しい、あの夏。他者という世界を、素手で発見する一瞬のきらめき。

『キッドナップ・ツアー』角田 光代

五年生の夏休みの第一日目、私はユウカイ(=キッドナップ)された。犯人は二か月前から家にいなくなっていたおとうさん。だらしなくて、情けなくて、お金もない。そんなおとうさんに連れ出されて、私の夏休みは一体どうなっちゃうの? 海水浴に肝試し、キャンプに自転車泥棒。ちょっとクールな女の子ハルと、ろくでもない父親の、ひと夏のユウカイ旅行。私たちのための夏休み小説。

『自転車少年記』竹内 真

幼い昇平の乗った自転車がスピードを出しすぎて飛びこんでしまったのは、草太の家の庭だった。ふたりは、その日、生涯の友と出会う。海まで必死にペダルをこいだ。強豪高校にレースで挑んだ。そして、東京発糸魚川行きの自転車ラリーを創った。もちろん素敵な恋もした。爽快無類の成長小説。

夏休みになると旅に出かけたくなりますが、親友と自転車で駆け抜けるこんな旅に憧れて、思いを馳せてしまいます。続編も刊行されていますよ。中学・高校入試問題によく出典されている作品です。受験勉強の息抜き読書にもおすすめです。自転車の旅に出かけてみるのもおすすめですけどね(^^♪

『DIVE!!』森絵都

オリンピック出場をかけて、少年たちの熱く長い闘いがはじまる!高さ10メートルから時速60キロで飛び込み、技の正確さと美しさを競うダイビング。赤字経営のクラブ存続の条件はなんとオリンピック出場だった。少年たちの長く熱い夏が始まる。小学館児童出版文化賞受賞作。

高飛び込みをテーマにしたスポーツ小説です。マイナー競技はこうした小説ではじめて知ることも多く、その魅力に一気に引き込まれました。水泳ものって多少暗いところがあっても、暑い夏に読むと爽快感が味わえますね。無駄にプールに飛び込みたくなります。
森絵都さんの作品はほかにもおすすめあります。

朽木祥『風の靴』

中学受験に失敗し、優秀な兄と比較されることにもうんざりしていた海生のもとに、祖父の急死の知らせが入る。ヨットの楽しさを教えてくれたおじいちゃんはもういない。サイアクの気分の夏休み、海生は親友の田明と家出を決意する。祖父の形見のディンギーに乗って。第57回産経児童出版文化賞大賞受賞作。

中学生だってストレスの多い毎日。「ここではないもっと広いどこか」へ飛び出していきたい!という人は意外と多いはず。海生のように、本当の海原に飛び出していって、風を感じる、こんなに気持ちのいい家出はなかなかできないだろうね。こんな家出に憧れます。朽木祥さんの小説から『オンザライン』も夏の読書におすすめです。

重松清『エイジ』

ぼくの名前はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった――。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?……家族や友だち、好きになった女子への思いに揺れながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。

キレる10代に「自分も同じではないだろうか」と感じる不安や10代の男子が抱える悶々としたあの苛立ちがうまく描かれています。

『川の少年』ティム・ボウラー

ジェスはおじいちゃんが大好きな15才の女の子。夏のある日、そのおじいちゃんが倒れた。最後の願いを叶えるため、家族はおじいちゃんを連れて故郷の川へ向かう。ジェスはそこで不思議な少年と出会った。カーネギー賞受賞作。

高校生から~夏のおすすめ本

『夜のピクニック』恩田 陸

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

恩田陸さんの小説を読んだことがないという人に、まずおすすめしたいのがこの小説です。80キロもの距離を夜通し歩くなんて、そんなイベント高校生の学校行事でしかしかやりませんよね。この設定がもう青春!です。ほんの一晩のあだいに、小さな勇気が生まれたり、新しいことがはじまる。その一瞬一瞬がかけがえのないものなんですよね。高校生にぜひ読んで欲しい1冊です。

「また、必ず会おう」と誰もが言った。

主人公・秋月和也は熊本県内の高校に通う17歳。 ひょんなことからついてしまった小さなウソが原因で、単身、ディズニーランドへと行く羽目になる。 ところが、不運が重なったことから最終便の飛行機に乗り遅れてしまう和也。 所持金は3400円。 「どうやって熊本まで帰ればいいんだ……」。 途方に暮れる彼に「おい! 若者」と声をかけたのは、空港内の土産物売場で働く1人のおばさんだった――。

吉本ばなな『TUGUMI(つぐみ) 』

病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と育った海辺の小さな町へ帰省した夏、まだ淡い夜のはじまりに、つぐみと私は、ふるさとの最後のひと夏をともにする少年に出会った―。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。第2回山本周五郎賞受賞。

心の奥にそっと閉じ込めていた懐かしい風景が浮かんできそうな詩的な描写に惹かれます。美少女で生意気なつぐみを中心に過ぎゆく日々。この本を読むと、にぎやかな夏の海からもうすぐ夏が終わる海をながめに出かけたくなります。高校生におすすめ。

『夏美のホタル』森沢明夫

写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。そこでひっそりと暮らす母子・ヤスばあちゃんと地蔵さんに、温かく迎え入れられた慎吾たちは、夏休みを「たけ屋」の離れで暮らすことに。夏空の下で過ごす毎日は、飽きることなくシャッターを切らせる。やがて、地蔵さんの哀しい過去を知った慎吾は、自らできることを探し始めるが…。心の故郷の物語。

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