読書芸人をはじめ多くの読書家たちがいま注目している作家・今村夏子さん。
どこにでもあるような日常を淡々と、時にはユーモアを織り込みリズミカルに描きながら、どこか心をざわつかせる文体に、不思議な魅力があります。
自分と他者との価値観のズレがボーダレスに描かれている、そんな感じがします。
わたしもデビュー作を読んで以来の大ファンです。
そういえば、何回も同じ本読んでるよね。
純文学は難しそうという中高生のみなさんにも、読みやすいのでぜひ挑戦してみて欲しい作家さんです。
著者・今村夏子
1980年2月20日、広島県広島市生まれ。
アルバイト先の事務所で「明日休んでください」と言われた帰り道、突然、小説を書いてみようかと思いつきました。なんの覚悟も決意もなく、ただ思いつくままにノートに手書きで書いていき、夏にパソコンを購入し、しばらくしてからプリンタを購入します。そうして、半年かけて出来上がったのが、デビュー作の『こちらあみ子』。その後発表された作品は数多くの文学賞を受賞します。2019年度咲くやこの花賞も受賞。
受賞歴など
『こちらあみ子』…第26回太宰治賞受賞。第24回三島由紀夫賞受賞。
『あひる』…第5回河合隼雄物語賞受賞。第155回芥川賞候補に。
『星の子』…第39回野間文芸新人賞を受賞。第157回芥川賞候補に。
『むらさきのスカートの女』…第161回芥川賞受賞。
こちらあみ子
今村夏子さんを読んでみたい人に、まず手渡したいのがデビュー作の『こちらあみ子』です。今村さんの作品に通じる「どこかずれた感覚」を感じてみたいという人は、文庫本に収録されている「チズさん」を読んでみてください。ごく短い物語なのであっという間に読めます。ラストに思わず「えっ⁉」と声をあげてしまうような、ぞわっとして腑に落ちない感じが味わえます。その感覚が気に入った人は「こちらあみ子」を続けて読んでみるのもおすすめです。
あひる
ある日、うちにやってきたあひる。知人から預かったあひるを飼い始めたところから、日常が少しづつ変わり始める。しかし、読み進めるうちに読者は気づく。変化を受け入れすぎるこの家族の「おかしさ」を。自分がその中に入るときには、気づかない奇妙さ。芥川賞候補作にもなった短編集です。
星の子
今村夏子さん初の長編小説です。新興宗教にはまる家族を見つめる中学生の女の子が主人公。宗教を中心にした生活に翻弄されながらも、穏やかさが流れる不思議な小説です。芦田愛菜ちゃん主演で映画も公開されます。
むらさきのスカートの女
「むらさきのスカートの女」と友だちになりたいわたしの狂気じみた日常がコミカルに描かれています。第161回芥川賞受賞作。
父と私の桜尾通り商店街
今村夏子さんの6篇の短編集。
今村夏子の主な作品
【2011年】
『こちらあみ子』
【2016年】
『あひる』
【2017年】
『星の子』
【2019年】
『父と私の桜尾通り商店街』
『むらさきのスカートの女』
【2020年】
『木になった亜沙』
新刊・話題作
↓↓ほかの作家のおすすめ本もチェック↓↓