- 小学校高学年から中学生に読んでほしい
- 平和・社会・アフリカの現状を知る本
- 読書感想文にもおすすめ
戦争がなくならない理由があった
コンゴ・スダン。
世界中が平和を謳ういまの時代、平和のための援助を世界中から受けながらも、アフリカでは戦争が続き何十万人という人の命が無惨に奪われています。生きていても、少年兵士として強制的に闘いに参加させられている人も大勢います。
なぜこうした戦争はなぜなくならないのか?
(なくすための取り組みをしているにも関わらず)
その驚くべき答えがこの本で分かりやすく書かれています。
著者は『ぼくは13歳 職業、兵士。―あなたが戦争のある村で生まれたら』の小川さん。2005年よりテラ・ルネッサンスのアフリカ駐在代表として、ウガンダ及びコンゴ民主共和国における元子ども兵士社会復帰プロジェクトに取り組んでいます。
10代にも分かりやすいように書かれていますが、そもそも「アフリカ」「民族紛争」「植民地支配」「欧米意識」といったものが10代の日本人にとって簡単には理解しづらい言葉でもあり、さらに複雑な世界情勢も絡んでいるため、これを読めばすべてすんなりと理解できるというものではないでしょう。
それでも、「読めるところだけでも読んで。分かるところが少しでもあるはず」と薦めたい。
実は、遠いアフリカの国々の戦争が、日本の私たちの暮らし方と無関係ではないということも見えてきます。驚きますね。
こうした国々に援助のための募金活動をしている学校も多いと思います。そうした活動はもちろん大切ですが、合わせて、戦争が起こりうる理由を調べてみることもおすすめしたいです。
いま現在の私たちの平和も、だれかに都合よく作られているためのものなのかもしれない、と自分の足元を揺らされるような思いです。
目次
第1章 アフリカの「世界大戦」を生きる子どもたち
第2章 ぼくたちの村で起こった紛争
第3章 平和だった頃のぼくらの村
第4章 ぼくたちの村に白人がやってきた
第5章 資源の奪い合いがはじまった
第6章 ぼくたちの村と心は分断された
第7章 ぼくたちの村で戦争がつづく理由
第8章 欧米中心の世界のなかで
第9章 アフリカの平和のために私たちにできること
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出版社 : 合同出版 (2012/4/1
発売日 : 2012/4/1
単行本 : 158ページ
著者・小川真吾
1975年和歌山県生まれ。特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス理事長。学生時代、カルカッタでマザーテレサの臨終に遭遇したのをきっかけに、マザーテレサの施設でボランティア活動に参加。国際協力やNGOの活動を本格的に始め、大学卒業後は、青年海外協力隊員としてハンガリーに。旧ユーゴ諸国とのスポーツを通した平和親善活動などに取り組む。帰国後、カナダ留学を経て国内のNGOでパキスタンでの緊急支援、アフガニスタンの復興支援活動などに従事しています。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)