「本読んだくらいでいけるほど甲子園は甘くない!!」
この本のタイトルから、そんな言葉が出てくる人もいるだろう。
そりゃあそうだ。
本を読む時間があるなら、グラウンドに出てボールを追いかけて練習をしたい。
選手なら、きっとそんな風に思うだろう。
だが一方で、優秀なアスリートの中には意識的に読書を取り入れている人も少なくない。
勝ち上がるにつれて強くなっていく相手との力の差が互角、あるいは相手の方が上だとしたら、勝てる要素は何だろう。
力の差でない部分にも鍛えられるべきところはないだろうか。
僅差で競り合った時、残り時間はわずか。
焦ってミスをした方が負けだというプレッシャー。
自分たちにも相手にも、必ずどちらにも「流れ」がくる瞬間がある。
自分たちの「流れ」を着実にモノにして、相手に「流れ」が来た時にそのペースに流されない。
勝負を左右するひとつの大きな要因に精神力は欠かせない。
これをスパルタ式に、厳しい練習に耐えうることでしか培うことができないと考えている指導者も少なくないが、果たしてそうだろうか。
待つ力、現実的で豊かな想像力、冷静な判断力。
こうした力は、耐えるのではなく育むことでより身につく。
「読書」は、こうした力を育てるのにとても有効的といえる。
選手たちに読書を通じて、こうした力を身に付けさせたいと考えた監督は、とある人物に依頼をする。
それが、この本の著者・村上淳子さん。
野球部に読み聞かせ?
村上淳子さんは、静岡県の中学校校長を退職後、常葉大学講師に。高校での講演をきっかけに、高校生へのよみきかせをはじめます。そうした中、野球部の監督さんから部員たちへのよみきかせを依頼されます。
監督は、朝練習の時間を部員たちの読書の時間にしてしまいます。甲子園を目指す高校球児たちの朝といえば、貴重な練習時間。
子どもたちも村上さんもこの取り組みを意外に思います。だって、野球に読書は必要ないでしょ、と。
もちろん、監督さんにはちゃんと狙いがあったのです。スポーツにおいて心の強さは重要。そして、読書は子どもたちの心を育て強くしてくれると監督は疑いませんでした。
(本文より)
『読書』や『読み聞かせ』、こういったことはとんでもない遠回りのように思われていますが、実はそうではないのです。しらずしらずのうちに、集中力が養われ、周囲に惑わされずに、状況を自分自身で冷静に考え判断する力がついているのです。
読書や読みきかせを続けることで、高校球児たちにどんな変化があらわれるのでしょうか。本の魅力や本に引き出される子どもたちの潜在能力の大きさを感じます。
いまひとつの力が足りないと感じるスポーツ監督のみなさん、読書してますか?
声をかけてもらえればいつでもよみきかせにうかがいますよ。
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こんな人におすすめです
◇読書をすすめる本
◇本のことを知る本
◇メンタルトレーニングの参考に
◇スポーツをする人に