片野田斉『きみ江さん ハンセン病を生きて』

  • ハンセン病に苦しんだきみ江さんのかけがえのない時間をつづるノンフィクション
  • 差別や偏見について考えてみませんか
  • 小学校高学年・中学生・高校生・大学生にも読んでほしい

本の紹介(あらすじ)

「差別」。
昔も今も、形や対象は変わっても、なくなることはないんだな、と。

デジタルの世界をのぞくと、どこもかしこもコロナウイルスの話題ばかりな今日この頃。最近は意識的にデジタルから離れた生活を送るようにしています。そんな中、こんな驚きのニュースを耳にしました。

コロナに感染して人の家に石を投げ込んだ。壁に落書きをした。。。

ちょうど少し前にこの本を読んだばかりの私には、今のコロナ患者に対する差別とらい病患者に対する差別が重なって思えました。

「らい病」という言葉は現在は差別用語とされ、「ハンセン病」と呼ばれています。
新しく感染する人はほぼゼロと言われている今、聞いたことはあってもどんな病気なのか知っている人は多くはないのではないでしょうか

ハンセン病は、「らい菌」の感染により、顔、手、足など主に人の目につく部分が変形したり不自由になる病気。神経が麻痺して痛みを感じないため、傷ややけどが気づかないうちに悪化して、手足の指がなくなることも。ハンセン病は人々に恐れられ、感染するという誤った偏見から多くの差別を受けてきました。
きみ江さんは小学生のころ、いじめっこの男の子にたくさん石を投げつけられます。悔しくて投げ返したいけど、ハンセン病の初期症状で指に力が入らず石がつかめません…。悔しくて悔しくて、ある時力を振り絞って石を投げ返したら、男の子の眉間に命中!
料理も自転車も、何度けがをしても諦めず、工夫して自分でやってのけるきみ江さん。
彼女にらい病という病名が告げられるのはだいぶ後のことでした。
らい病になってしまったらもう、今まで通り社会で普通に暮らすことはできません。
保健所に知らせると、家じゅう真っ白い粉で消毒されて、次の日からその家には誰も近づかない。近所の人から避けられ、その家の娘は結婚もできない。そんな残酷な現実があったのです。
きみ江さんは家族のため、保健所に知らせない約束で、三日後には家を出ました。
その後きみ江さんは、ハンセン病患者の療養所「多摩全生園」で暮らすことになります。

常に前向きで頑張り屋のきみ江さんの波乱万丈人生と共に、差別や偏見、いじめ、について考えさせられる一冊でした。
ぜひ私と同世代の方、大学生にも読んでほしい!いや、読むべき!

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単行本: 205ページ
出版社: 偕成社
発売日: 2015/2/5

キーワード
ハンセン病、差別、人権

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