角田光代『坂の途中の家』~裁判員制度に揺れる心

角田光代『坂の途中の家』

単行本: 424ページ
出版社: 朝日新聞出版
ISBN-13: 978-4022513458
発売日: 2016/1/7

  • その母親は有罪か、あなたは裁けますか
  • 裁判員制度をテーマにしたミステリー

本の紹介(あらすじ)

安藤水穂は生後八か月の赤ん坊を浴槽に落として死亡させた容疑者。彼女に殺意があったのかどうかはわからない。その瞬間意識は別のところに飛んでいた、と彼女は言う。

2歳の娘をもつ専業主婦の里沙子は、この事件の補欠裁判員に選出される。水穂の夫、義母、友人、母、証言台に立つ人物たちが語る水穂の姿は、少しずつ重なりすこしずつ異なる。水穂の本当の人物像はどこにあるのか。

証言台に立つ人物たちの証言を聞くうちに、里沙子は子育ての閉塞感や夫への不満、親との関係など、安藤みずほに心を重ねてゆく。

裁判員制度とは

裁判員制度とは、わたしたち国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪かどうかを決定する判決に参加する制度です。また、有罪の場合どのような刑にするかということも相談します。

平成16年5月21日「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し,平成21年5月21日から裁判員制度が始まりました。 海外ドラマや映画で国民参加型の裁判がよく見られますが、アメリカやイギリスで採用されているのは、陪審員制度と言って、日本の裁判員制度とは厳密にいうと異なります。

この本では、裁判員制度について全く知らなかったと言ってもいいごく普通の主婦の元に「呼出状」と言われる通知が届くところから物語が始まります。小さい子どもがいることなどを理由に断ろうかと考えますが、理由によっては辞退は認められません。

里沙子への通知は補欠裁判員のものですが、補欠は必ず置くものではなく、場合によって補欠裁判員も選出されるようです。選ばれた際には、またほかの裁判員と同じように裁判に参加することになります。

小説の中では、実際に裁判に参加した後で裁判員は別室に集まり、質問をしたり、裁判官から意見を求められたりなどもします。この小説では、裁判員制度によって裁判員に選ばれた場合、どのような流れになるのかわかりやすく描かれています。20歳以上のすべての国民が裁判員に選ばれる可能性があります。突然通知が届いても慌てないように、この本で予習しておくといいですよ。

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坂の途中の家
朝日新聞出版
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