- 高校生におすすめ連作短編
- 青春恋愛オムニバス
- 第147回(2012年上半期)直木賞候補
本の紹介(あらすじ)
彼氏がいるのに、親友に想いを寄せられている。汐梨、平凡な日常と、特徴のない自分に飽き飽きしている。翔多、絵を通して、壊れた家族に向き合おうとする美大生。新、美人で器用な双子の姉にコンプレックスを抱く浪人生。梢、才能の限界を感じつつも、バイトをしながらダンス専門学校に通う。遙。あせりと不安を力に変えた5人が踏み出す“最初の一歩”。
ストーリーはどれも大学生らしく、ありきたりでぴりっと刺激的で、つまり面白くて読みやすい。今しかない一瞬を生きているのだという刹那さを瑞々しく描く。
『桐島、部活やめるってよ。』の大学生バージョンといった感じの青春恋愛オムニバス。短編ごとに語り手が変わってゆく連作短編は、ひとつひとつの物語を楽しめるだけでなく、誰もが生きていくうえで少なからず影響を与え合っているのがよくわかる。同じ出来事でも、ほかの人からは少し違った感じに見えてたりして。こういう連作短編、朝井さんすごく上手なんです。
お気に入りは、「ひーちゃんは線香花火」と「僕は魔法が使えない」。
自分ひとりでもんもんと悩んだり、上手に歩けてるつもりでいるけれど、ささいな「わたし」も誰かの人生に必ず足を踏み込んでいて、なにげない「あなた」にこんなにも左右されてしまうように。人生ってそういうものなのだ。
個人的に、文庫本よりも物語を思わせる単行本の表紙の方が好き。
本の感想
物語に登場する女の子たち、ひーちゃんも結実子も、好きなタイプなんだなぁ。この二人に限らず、小説に登場する女の子たちのなんと魅力的なこと。透明で瑞々しくてキラキラしている、少し大人でまだ少女。朝井さんの周りには、よほど素敵な女の子ばかりいるのだろう。もしくは、モデルは彼の中に住まうだれかだったりして、などと著者の恋心にまで勝手に想いを馳せてみたりして。
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受賞歴など
第147回(2012年上半期)直木賞候補作