読書が苦手でも書ける読書感想文の本選びのポイント

くま
くま

読書感想文の宿題が出ました。本は読み終えたけど、ここからどうしたらいいのか、さっぱりわかりません。助けて~。

ゆう
ゆう

くまくんは、ちなみにどんな本を選んだの?

くま
くま

星新一の短編集。普段あまり本を読まないけど、朝読書の時間に読んでみたら面白かったから、この本にしようと思ったんだ。

ゆう
ゆう

なるほど!好きな本や読んだことのある作品で読書感想文を書いてみるのは、悪くないアイデアね。でも、短編集で読書感想文を書くのは、ちょっと難しそう。実は読書感想文を書きやすい本があるって知ってる?

読書感想文を上手にまとめるための一番大事なポイントは”本選び”です。実は、たくさんある本の中には、感想文を書きやすい本と書きづらい本があります。

ところで、みなさんは、どんな風に読書感想文の本選びをしていますか。ふだんあまり本を読まない人にとっては、どんな本を選ぼうかと考えるだけでも面倒ですよね。読む習慣がない人は、読書は疲れるという人もいるでしょう。それに、読書は時間がかかります。部活や勉強で忙しくて読書の時間を作るのが難しいという人もいるかもしれません。

そこで、ぱぱっと読めておもしろい本を選ぼう!と思われるかもしれませんが、ちょっと待って。実は「おもしろい」だけの本で、読書感想文の原稿を埋めるのは至難の業。私も、たくさんの本を紹介していますが、「あ~おもしろかった」という本はなかなか紹介文が書けません。

逆に、感想が書きやすい本は「考えさせられる本」です。それまで自分が知らなかった世界を知る、自分の生活に関わりのある、本を読む前と読んだあとでは考え方が変わったなど、本を読んでいろんなことを考えるだけでなく、その考えたことをだれかに伝えたくなると、とてもいい読書感想文が書けます。

「どんな本を読んだらいいかわからない」というみなさんに、読書感想文が書ける本選びのポイントは次の3つです。

読書感想文の本選びのポイント
  • 興味関心のある本
  • テーマ性のある本
  • 読みやすい本

まずは自分と関りがありそうで、いろいろなことを考えるきっかけになりそうなことをテーマにしている本を選ぶのがおすすめです。

自分にとっての読みやすさもポイントです。単純でおもしろいだけの本は感想文を書きづらいと言いましたが、読書感想文の本を選ぶ時に、中学生・高校生だから長い本、難しい本を読まなくては、とハードルをあげる必要はありません。理解できない難しい本よりも、読みやすくて心に残る、考えさせてくれるいい本を読んで欲しいなと思います。

本選びの3つのポイントを踏まえて、私がおすすめするのは、ずばり!

ノンフィクションです!

特に、普段あまり本を読まない人には、ノンフィクションをおすすめします。ノンフィクションとは、物語のような「想像」で創作されたものではなく、実際の出来事を書いたものです。

読書が苦手だと感じている人の中には、読むことが苦手なのではなく、実は”小説”が苦手だという人もいます。実際に私も感想文を書く時は、小説よりもノンフィクションの方が書きやすいです。

社会問題、福祉、戦争や平和をテーマにしたものなどノンフィクションにもいろいろなジャンルがあります。

小説は登場人物たちの心に共感して楽しむものです。一方、ノンフィクションは実際に起こった出来事を客観的に描いているので、物語よりもよりストレートに現実を突きつけてきます。自分の立場からそれぞれの素直な感想が出てくるはずです。インターネットやテレビ番組でもさまざまな情報が手に入りますが、そうした内容と本を読んだ感想を絡めて書いてみるのもいいと思います。

ポイントをまとめながら、それぞれおすすめの本をいくつか紹介しますね。

興味関心のある本

読書感想文には、自分が興味のある本を選ぶのが一番です。読書感想文には、本を読んだ感想だけでなく、「自分はどうだろうか」という自分の考えやエピソードを入れるとよい文章になります。(文字数も稼げて一石二鳥)興味や関心のある内容であれば、自分と重なるエピソードが浮かんでくるのではないでしょうか。

例えば、自分がいま夢中になっているもの
スポーツや部活動などを題材にした本
映画や音楽をテーマにした本 など

こんな本はいかがですか

『甲子園だけが高校野球ではない』

毎年素晴らしいドラマを見せてくれる甲子園。マネージャー、ブラバン、父母、監督・・・高校野球を裏で支える人たちにとってもその存在は特別です。野球に詳しくない人でもスポーツをしている人、応援している人なら共感してしまうのではないでしょうか。シリーズでおすすめです。

例えば、好きなことに関連した本
自然や生き物が好き→動物に関する本
食べることが好き → 農業や食に関する本
漫画やアニメが好き → 歴史・時代背景に関する本  など

こんな本はいかがですか

興味のあることに関連付けた本なら読みやすく、自分を重ねて感想文も書きやすくなります。
「自分も同じような経験がある」
「自分もこんなことをがんばりたい」など
前向きな感想が書けそうですね。

例えば、気になる人について知る
歴史上の人物の伝記を読む
いま活躍している人から学びたい

こんな本はいかがですか

伝記絵本のブックリストも参考にどうぞ。

読みやすく書きやすい読書感想文の本をいくつか紹介します。

『ホームレス中学生』

ある日、家に帰ると父は家族に解散宣言をして行方不明になった。家をなくした兄弟たちは、それぞれに分かれて暮らすことに。中学生に田村少年は、近所の公園にあるうんこ形の滑り台で寝泊まりすることに・・・。お笑いコンビ「麒麟」の田村裕さんが実際に体験したホームレス生活をつづったノンフィクションです。芸人さんらくし、面白く読めるように書かれていますが、もしも自分だったらと考えるとその現実はとても厳しいと感じます。

『雪とパイナップル』

1986年、チェルノブイリで原子炉爆発が起こりました。史上最悪と言われた原子力事故は近隣の国々にも大きな影を落としました。放射能をたっぷりと含んだ死の灰は国境を越えてベラルーシという小さな国にも降り注ぎました。これは、当時、放射能汚染された子どもの治療にあたっていた著者がベラルーシで出会った少年・アンドレイの心打たれる物語です。

物にあふれている現代人に大切なことを教えてくれます。

『いのちをいただく』

坂本さんは、食肉加工センターに勤めています。牛を殺して、お肉にする仕事です。坂本さんは、この仕事がずっといやでした。

食べ物があふれているいま、食べ物に感謝する心を忘れていませんか?「いただきます」「ごちそうさま」の意味を改めて考えさせられます。

シンプルなイラストを添えた坂本さんのおはなしのほか、食べ物に携わる方々のインタビューも掲載された小さな本です。いのちを大切にするために、わたしたちにできることはなんでしょうか。

テーマのある本①戦争の本

先ほども書きましたが、読書が苦手な人にはノンフィクションをおすすめしています。小説に比べてノンフィクションははっきりとしたテーマがあります。

例えば、いじめについて書かれた本なら「いじめをなくしたい」というテーマがあり、戦争について書かれたものならば「戦争を二度と繰り返したくない!」という強い思いがあります。

テーマがはっきりとしている作品なら、そのテーマを踏まえて掘り下げてみると感想文が書きやすくなるはずです。

読書が苦手な人の読書感想文の本としてわたしがよくおすすめするのは「戦争や平和をテーマにした本」です。過去やいまを知ることは「これからどう生きるべきか」を考える大きなヒントになります。1年に1冊は、戦争や平和について考える本を読む機会を持って欲しいと思います。

戦争と平和について読書感想文にもおすすめの読んでほしい本をいくつか紹介します

『はだしのゲン わたしの遺書』

1945年8月6日の朝、広島の町に世界ではじめての原子爆弾が投下されました。原爆投下直後の広島の惨状をリアルに描いた漫画「はだしのゲン」。この本は、「はだしのゲン」の作者・中沢啓治さん自身の体験をつづったノンフィクションです。原爆で家族と家を失いながらも懸命に生き抜き、漫画家を目指した中沢さんの生涯と漫画に込められた思いがつづられています。

野坂昭如『火垂るの墓』

ジブリ映画で知っているという人も多いと思いますが、ぜひ原作も手に取ってみてください。著者の原体験から生まれた戦争孤児の兄妹の悲しい運命を描いた物語です。「アメリカひじき」とともに直木賞受賞作です。

テーマのある本②社会問題

いま、日々の暮らしの中で疑問に思っていることや、ニュースで取り上げられていて気になっている問題はありませんか。

例えば、なぜ戦争はなくならないんだろう?、ヤングケアラーってなに?現状は?、震災の復興はいまどうなっているの?など、身近にある問題について、正しい情報や現在の対策を知ることで、自分なりの新しい発見があるはず。

読みやすい本

読書感想文の本を読む時の大事なポイントをひとつお伝えします。それは、

ゆう
ゆう

だらだら読まないこと。

なかなか読み進められない、読みづらいと感じる本は、あなたに向いていない本かもしれません。読み切る自信がなければ、思い切って別の本に切り替えてみるのもおすすめです。特に、普段あまり本を読まない人はまずは、まずは図書館で本を探してみてはいかがでしょうか。少し読み進めてみて、続きが読みたいと思った本を借りたり、購入するといいですよ。

読書感想文におすすめこんな本

読書感想文の本選びは味や関心のあるジャンルから選ぶことがポイントと紹介してきましたが、特に好きなこともないし、うまく本を探せないよ(・´з`・)という方のために、もう少しおすすめの本を紹介しますね。

ここでは、ふだんはあまり本を読まない人、読書が苦手な人にも文章が短くて読みやすい本を中心にセレクトしました!苦手な人ほど持ち越しせずに、ささっと読んでぱぱっと仕上げてしまいましょう。

おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典

生きものはそれぞれに、ほかにはない特徴を持っている。その特徴の中から「ちょっとざんねんなところ」にスポットを当てました。小中学生に大人気となったベストセラーです。ふしぎな生きものたちをみていると、どこか人間と似ています。あなたに似ている動物を見つけてみるのもおもしろいかもしれません。

『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』

斬新すぎて誰にも理解されなかったピカソ、あの有名なフライドチキンの創始者カーネル・サンダースも、偉人と呼ばれ歴史に名を残している人たちも、実はこんな失敗があった!というおもしろ偉人伝です。「読書感想文くらい何とかなるさ」ときっと勇気が湧いてきます。

ヨシタケ シンスケ『ぼくのニセモノをつくるには』

絵本で読書感想文なんてダメ!なんてナンセンスなことを言う先生はいないだろうけど、この絵本ただの絵本じゃない。社員研修にも使われているらしいとかなんとか(曖昧でごめん)。自分ってなんだろう?と自分と向き合うちょっといいきっかけになりそうな1冊です。もしも、自分のにせものを作るとしたら…一緒に想像しながら文章にしてみると、自分の意外な一面が現れたりして。

『びんの悪魔』

どんな願いも叶えてくれる不思議なビン。ただし、死ぬまでに手放さなければ地獄に落ちる。そして、手放すには買った時よりも安い値段で売らなければならない。

この悪魔のようなビンを手にした男の物語です。どうなるんだろう?と先が気になって、112ページという長さを感じさせず一気に読み切ることができます。物語はとてもシンプルですが、「自分だったらなにを願うだろうか?」と想像してみたり、本当の人生の豊かさとはなにか?と考えさせられたりします。

読書感想文を書くポイント

ここで紹介した本は、ほんの一例です。興味関心のある本、テーマ性のある本、読みやすい本の3つのポイントを参考に、読書感想文の本選びをしてみてくださいね。

最後に、読書感想文を書く時のとても大事なポイントをひとつお伝えします。それは、

ゆう
ゆう

いい読書感想文を読んでみること

「読書感想文が苦手」だと思っている人の中には、読書感想文を一度も読んだことがないという人が結構います。宿題を出す先生も「本を読んで感想を原稿用紙に書いてください」って感じだったりします。まじめな話ですが、漫画を1冊読んだことがあるだけで、それなりに漫画をかける人はいません。どんなに才能があったとしても、知らないものはだれも書けません。

読書感想文がうまく書けないという人は、読書感想文を書く前にぜひだれかの書いた読書感想文を読んでみてください。全国学校図書館協議会では毎年、入賞者の作品をまとめた作品集を刊行しています。どんなことが書いてあるか参考になりますよ。

読書感想文コンクールの公式サイトでは上位入賞者の読書感想文が読めます。

特に、苦手だなぁと思っている人ほど夏休みの早いうちに片付けちゃいましょう。気合を入れて、ささっと読んでぱぱっと書き上げる。がんばってね。

読書感想文にもおすすめの「夏」をテーマにした小説リストはこちら

これまでの読書感想文コンクールの課題図書に選出された本も、参考にどうぞ