白田『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』

  • 前代未聞の未解決「三億円事件」の真相がここに⁉
  • 小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿された話題作。

本の紹介

こういうタイトルってそれだけで惹かれちゃいますよね。
わたしは「府中三億円事件」を知りませんでした。私が生まれるずっと前の事件で、とっくに時効を迎えています。
どんな事件だったのか。その概要だけ読んでみようと、何気なくページをめくってしまったのが最後。

本を読むのが遅いことで有名な私が、一度も止まることなく一晩で読み切ってしまいました。というか、読み終えずに眠ることができなくなってしまったという方が正しいかもしれません。

この事件は東京都府中市で1968年12月10日に発生した窃盗事件。

現金輸送車に積まれた、東京芝浦電気(現・東芝)府中工場従業員のボーナス約3億円(2億9430万7500円)が、白バイまで用意した偽の白バイ隊員に奪われた事件である。
犯人は捕まらないまま1988年に時効を迎え、事件の真相は迷宮入りしました。その犯人と名乗る人物が2018年、突如「小説家になろう」に発表した作品がこの本です。

偽物なのか、本物なのか、それはだれにもわかりません。
しかし、読んでいくうちこれが事件の真相だと思えてなりません。

犯人と名乗る人物、白田は当時大学生でした。
ちょうど今の私と同じ年齢です。
この時代は学生運動が盛んであり、社会に強く反抗心を持ち、行動を起こす学生が多くいたようです。そんな時代背景を踏まえた上でも、わたしには彼らの犯行動機がどうしても理解できません。なにかしらの社会に対するのか、自分に対してなのか、フラストレーションのようなもの。どこか悶々とした日々から抜け出したい。何かを変えたいという思いが動機だとすると、あまりにもリスクが大きすぎます。

その行動力、熱量がどこからくるのか。とても興味深く思います。

事件を知らない人も知っている人も楽しめます。ぜひ読んでみてください。

本をチェックする

小説投稿サイト「小説家になろう」の投稿から書籍化。

単行本: 160ページ
出版社: ポプラ社
発売日: 2018/12/7

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