- 謎の7本のテープが語るクラスメイトの死の真相
- 死を選んだ彼女にぼくたちができたことはなんだろう
- 海外で人気ドラマ化
あらすじ
クレイ宛てに届いた小包の中に入っていたのは、7本のカセットテープ。
それは、二週間前に自殺したクラスメイト・ハンナの声で録音された、彼女からのメッセージだった。
これからわたしの人生について話します。もっと正確に言うと、どうしてわたしの人生が終わったのかっていう話。このテープを聞いているあなたは、その理由のひとつです。
重松清『十字架』の中で自殺したフジジュンは主人公の「僕」に<親友になってくれてありがとう>という言葉を遺書に書き遺した。なぜ?親友でもなければ、いじめから救うこともしなかった僕は、苦しみの渦中に置かれる。
カセットテープを聞いたクレイも同じだった。なぜ僕に?
ハンナは、男の子たちが放っておかないタイプの魅力的な女の子。クレイはハンナに恋をしていたが、親密な間柄になることはないボーイフレンドのひとりに過ぎない。
心をざわつかせる驚きはやがて、彼の中に消えることのない十字架を背負わせることになる。
(ちなみにこの2冊は、どちらも2009年に日本で刊行されている)
読み手を引き込むミステリアスな展開だが、ここに描かれているのはすぐそばで起こりえるかもしれない10代のリアルだ。
カセットテープの中にいたのは、だれも知らなかったハンナ自身。ハンナは、周りの作る彼女のイメージに翻弄されていた。「本当のわたしは違う」と声をあげることもできなかったハンナは、だれかと信頼関係をうまく築くこともできず、結果、最後にはまわりとつながる糸をすべて切り落としてしまう。彼女の裸の心を知りたいと手を差し伸べたものはいただろうか。
キュートで憂いのある表紙に惹かれて、この本を手にした私もまたイメージを受け入れやすいひとりであることは否定できない。
わたしたちは人から受ける感情にはとても敏感だ。一方で、自分が他者にどれほどの影響を与えているのかを自覚できている人は少ない。
ハンナがもう少しだけ、だれかに心を開けたら。
だれかがもう少しだけ、ハンナの心に近づけたら。
待ったいるだけでは、きっと足りない。
クレイに届いたカセットテープは、彼にそのことを気づかせてくれただろうか。
追伸:『13の理由』は、著者・ジェイ・アッシャーのデビュー作。2007年にアメリカで出版されて以来、口コミで評判が高まり、カリフォルニア・ブック賞のほか、アメリカ図書館協会など多くのYA部門でベストブックに選定された話題作。
さらに2017年セレーナ・・ゴメスが総指揮を務め、海外でドラマ化。10代を中心に人気のようです。
これ映画化希望。←その後海外でドラマ化され若い世代に人気となりました。
ハンナのテープ音声を背景に、街を歩き回るクレイの姿、パーティーの回想シーン…映画のような情景を浮かべながら読んだ。登場人物が多いのも、映画化向きかもね。
おすすめポイント
受賞歴など
◇カリフォルニア・ブック賞
海外で人気ドラマ化
2017年Netflixにてドラマ化。全13話。
ドラマの1話がテープの片面の1人分として製作されています。原作と同じように、テープを聞いたクレイが場面を回想していくように進みます。
セレーナ・ゴメスが製作総指揮を務め、多くの10代から支持されているようです。特にラストのハンナが死を選ぶシーンの臨場感は、胸に迫るものがあると話題になっているそうです。
13の理由 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
*本をチェックする*

出版社 : 講談社
発売日 : 2009/3/26
単行本(ソフトカバー) : 346ページ
ドラマ人気からか2019年に単行本の新装版が出版されています。とはいえ、表紙のイラストがあまり気に入らない…。こっちの表紙がお気に入りです。


