レインボー・ローウェル『エレナーとパーク』~エレナーがいないとだめなんだ

エレナーとパーク

胸がずきゅんとしちゃう恋愛小説が読みたいなぁ。おすすめを1冊ください。

胸ずきゅんのとびきりな恋愛小説ありますよ!『エレナーとパーク』は、ちょっと浮いてる高校生ふたりの恋愛を描いた青春ラブストーリー。ニューヨークタイムズのベストセラーリストに12週連続でランクインした人気作品です。こちら、ただいま映画製作の話が進行中みたいですよ。※

本紹介

パークは、UKロックを聴き、コミックが好きな韓国系ハーフの16歳。高校では少し浮いている。

ある日、スクールバスに赤毛の転入生が乗ってきた。

転入生の女の子は深く息を吸い込むと、通路を歩きはじめた。だれもそっちを見ようとしない。パークも見ないようにしたけど、だめだ、列車事故か、月蝕(げっしょく)かって感じ。目が引きつけられる。

エレナーは大柄で、男物のシャツをはおっている、髪の毛は真っ赤なうえにひどいくせっ毛。
当然、だれも席を譲ろうとしない。パークはしぶしぶエレナーに席を譲り、彼女はパークの隣に座った。お互い、最初の印象はよくないけれど、これが、エレナーとパークの物語のはじまり。

バスの中でいつもコミックを読んでいるパークは、ある日、彼女が視線を落としてパークのコミックを読んでいることに気付く。パークは、エレナーが読みやすいように、ページをゆっくりめくるようになった。

パークって、自分のことをちょっと外れた存在って思ってるけど、めっちゃいい子なんだよね。

それで?それで?

パークはエレナーにコミックや音楽を貸すようになり、ふたりの距離は少しづつ縮まっていく。パークの趣味にも彼自身にも惹かれていくエレナー、エレナーを知るにつれて彼女にのめり込んでいくパーク。しかし、エレナーは、パークには知られたくない問題を抱えていた。

なぜ、エレナーがいつもあんな妙な恰好をしているのか。
なぜ、いつも怒ったような態度なのか。
なぜ、わざわざまわりから浮くようなことをしているのか。

「エレナーが好きなんじゃない。エレナーがいないとだめなんだ」

「パークのこと、好きじゃない。あたし、パークのために、生きてるんだと思う」

パークを想ってるかって?パークの中に溶けてしまいたい。パークの腕が止血帯みたいにぎゅっと抱きしめてくれたら。どれだけあたしがパークを必要としてるか知ったら、パークは逃げてしまうだろう。

エレナーはすてきなんかじゃない。エレナーはアートだけど、アートは必ずしもすてきじゃない。アートっていうのは、人になんらかの感情を起こさせるものだから。

複雑な家族の問題を抱え、安心のできる場所を持たないエレナー。パークは心の支えになることはできても、彼女の問題に深く立ち入ることはできない。16歳の切ない恋愛の行方はどうなるのか。

ふたりの熱い想いに胸のきゅんきゅんが止まらない。と同時に、エレナーに幸せになって欲しい、という気持ちで一気読みでした。

※本著あとがきでは、ドリームワークスによる映画化製作が進行中とのことでしたが、こちらは実現せず。現在は別の製作会社と映画化の話が進行中のようです。いずれにしても楽しみ。

受賞歴など

ボストングローブ・ホーンブック賞受賞
マイケル・L・プリンツ賞ノミネート
ドイツ児童文学賞

本をチェックする

エレナーとパーク Eleanor&Park
辰巳出版
レインボー・ローウェル (著), 三辺 律子 (翻訳)

出版社 ‏ : ‎ 辰巳出版
発売日 ‏ : ‎ 2016/1/31
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 406ページ

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