重松清『ポニーテール』~新米姉妹のあったか物語

小学校高学年から読めるほっこりして泣ける家族と姉妹の物語

本の紹介

朝の通学時を歩く小学生の姉妹。

「猫がいたよ。かわいかったね」と妹のフミ。

「ふつうじゃん」と姉のマキ。

「シオカラトンボってなんでシオカラっていうの?」と聞くと「わたしが決めたわけじゃないから」とこれまたそっけない返事。

でもそのあとで「夕方になると色が変わるんだよ、あのトンボ」と教えてくれる。←嘘だけどね。

そんなことで、フミはとても安心する。

くせっけでおかっぱ頭のフミは小学4年生。

ポニーテールのよく似合うマキは小学6年生。

フミがマキを「おねえちゃん」と呼ぶとき、まだ少し緊張するのは、ふたりができたてほやほやの「姉妹」だから。

フミはマキのお母さんと親子になり、

マキはフミのお父さんと親子になり、

フミとマキは「きょうだい」になった。

生まれたてほやほや家族の4人が少しづつ家族になっていく模様が、切なくてあたたかい。

バレンタインデーにお父さんにチョコレートをあげるとき、

ひな祭りで雛人形を飾るとき、

いまの前の家族を思う時、いったん立ち止まる。

「こんな時、家族だったらどうするだろう」と。

そうだ、家族ってこうして少しずつ作っていくものなのかもしれないね。

おねえちゃんのさらさらポニーテールに憧れるフミがなんともかわいらしいです。

文庫本もありますが、単行本のポップでおしゃれな表紙にひと目ぼれ。装画は、イナキヨシコさん。レトロポップなテイストがツボなイラストレーターさん。表紙のふたりはこの物語の主人公、マキとフミ。クールなお姉ちゃんと、おしゃまな妹のイメージもよく出てるよね。

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小学校高学年から読める重松清

単行本: 302ページ
出版社: 新潮社
発売日: 2011/7/1

私立中学校国語入試問題に出典
【2015年】千葉日本大学第一中学校
【2013年】大妻中学校

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