- 小学校高学年から読める
- 江國香織の小さな恋愛小説
わたしは恋に生きる
恋ってなんだろう。愛ってなに。小学生から中学生になるまでのみのりの爽やかで清々しい目線で描かれる日常。
みのりは小学生。
お姉ちゃんがお嫁にいった。相手は次郎くんではなくて島木さんなのが、みのりはおもしろくない。次郎くんは3年間もお姉ちゃんのボーイフレンドだったのに、お姉ちゃんは急にお見合いをして、それから半年もしないうちに島木さんと結婚してしまったのだ。次郎くんに密やかな恋心を抱くみのりは、次郎くんがもううちに遊びに来ないことが寂しい。
どうして相手は次郎くんんではないのか。
「愛する人のそばがいちばん」とおばあちゃんは言うけれど、みのりはもう次郎くんのことなんか忘れてしまったようなお姉ちゃんの気持ちがわからないし、お母さんだってお父さんと結婚しているけれど、それが「いちばん」なのかどうかはわからない。
絹子さんがおじいちゃんの恋人だったと、おばあちゃんは言った。おばあちゃんと絹子さんは大の仲良しだったのに。どうしてだろう。
結婚することと恋をすることは違うのかもしれない。
そして、それは大人になることと似ている。
そして、潔くこう誓うのだ。
「結婚じゃなく、はげしい恋に生きよう」と。
綿菓子…みのりは小学生。昨日、お姉ちゃんが結婚した。ボーイフレンドの次郎君のことなんてとっくに忘れたみたいなお姉ちゃんを見ていると、みのりは恋とはいったいなんだろうと考えてしまうのだった。
絹子さんのこと…おばあちゃんの友だちの絹子さんが亡くなった。おばあちゃんと一緒に絹子さんのお墓参りに行ったみのりは、そこでおばあちゃんからふたりの不思議な関係を知るのだった。
メロン…中学の友だち・みほのこと。仲がいいと思っていたみほの両親が離婚した。「夫婦なんてばかみたい」と言ったみほのお人形みたいな横顔。
昼下がり、お豆腐のかど…お姉ちゃんの家に遊びにいったみのり。夜ごはんは、島木さんの好きなお豆腐のオンパレードだった。お人好しでいい人の島木さんも、島木さんのために尽くすお姉ちゃんも、みのりは納得がいかない。そんな帰り道、みのりは偶然、次郎くんに会う。
手紙…引っ越しで転校したみほからの手紙で綴られる短い章。
きんのしずく…次郎くんとの小さな夜のデート。
本のチェック
単行本: 107ページ
出版社: 理論社
ISBN-13: 978-4652042182
発売日: 1993/10/1
*もくじ*
綿菓子/絹子さんのこと/メロン/昼下がり、お豆腐のかど/手紙/きんのしずく
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小学校高学年から読めます。はじめて江國香織さんの本を読む人にもおすすめです。きっと、読む年齢によって感じ方が違うでしょう。