朽木祥『風の靴』~海へひと夏の冒険

朽木祥『風の靴』
  • 中学生におすすめ夏の冒険小説
  • 海が好きな人、家出したい人に
  • 第57回産経児童出版文化賞大賞受賞作
  • 読書感想文にも

中1の夏、海へ家出

海生(かいせい)は、お兄ちゃんが通う難関中学への受験に失敗して、公立中に通う一年生。3年後の高等科受験をさせようとしている両親の会話を聞き、海生は気がめいる。「もう、ほんとにサイテーだ。」しかし、1か月もしないうちに、もっとサイテーなことが起こる。

おじいちゃんが死んだのだ。海が大好きで、ヨットの操縦を教えてのくれたおじいちゃんの死に、いてもたってもいられなくなった海生は、親友の田明(でんめい、お父さんはお寺の住職さんだ)と、海路での家出を決行することに……。2人の少年とひとりの少女と一匹の船の旅が始まる。

受験に失敗、両親のプレッシャー、お兄ちゃんへのコンプレックス、「もういやだ!!」と思うことがたくさん転がってて、家出をするというのはよくある設定だけれども、本当の海原に飛び出していって、風を感じる、こんなに気持ちのいい家出はなかなかできないだろう。

『十五少年漂流記』が大好きで、その世界に憧れているふたりの少年だからこその冒険物語。ヨットを操るシーンでは、専門用語が飛び交って、本格的なヨット操縦を楽しめます。平成少年の海洋冒険かな。

海が好きな人、ヨットが好きな人、冒険に出かけていきたい人、あなたも「漂流記モード」全開で楽しんでください。家で寝転がって本を読んでいるのがもったいなくなる、夏におすすめの一冊です。

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