プロイスラー『クラバート』

『クラバート』 YA文学
  • 子どもから大人までだれにもおすすめ
  • ドイツの児童文学作家・プロイスラーの代表作
  • 映画「千と千尋の神隠し」の土台となった小説
  • ドイツ児童文学賞。ヨーロッパ児童文学賞など受賞
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魔法使いの見習いになった少年

水車場『クラバート』

クラバートは14歳。同じヴェント人のふたりの少年とともに国内を物乞いをしたり浮浪生活をして歩いていた。帽子のまわりに麦わらの輪をつけて三博士に扮装して家々をまわるのだ。

ある夜、クラバートは奇妙な夢を見た。

11羽のからすが一本の止まり木にとまっていて、クラバートをじっと見る。

遠くからクラバートの名前を呼ぶ声がする。その声は言った。

「シュヴァルツコルムの水車場に来い。お前の損にはならぬだろう!」

奇妙な夢は続き、クラバートはある朝、ふたりを置いて夢に見た水車場へと向かった。

コーゼル湿地の水車場には、親方と11人の職人たちがいた。

クラバートにとって水車場での見習の仕事は決して簡単なものではなかったが、同じ職人のトンダやユーローに助けられながら仕事に慣れていった。

聖金曜日(キリスト受難の日、復活祭前の金曜日)の夜、親方に呼ばれて部屋へ出向いたクラバートは、不思議な光景を見た。職人たちは11羽のからすとなり、止まり木にとまった。からすたちがクラバートをじっと見つめる。

「おまえはもうただの見習いではない。これからは、わしの弟子にしてやる」

親方はそういうと、クラバートの肩にさわった。気が付くとクラバートの体もからすになっている。

「クラバート、おまえはいま〈魔法の学校〉にいることを知らなければならない」

正式に親方の弟子となったクラバートは、昼は水車場で職人として粉ひきの仕事をこなし、金曜日の夜は魔法の学校で親方から魔法を習うことになる。しかし、ここにはクラバートがまだ知らない秘密があった。

 

クラバートと「千と千尋の神隠し」

ジブリの宮崎駿監督はこの小説のファンだそうです。映画「千と千尋の神隠し」は『クラバート』を原作の一部としたストーリーになっています。同じように、「千と千尋の神隠し」に影響を与えた作品として柏葉幸子さんの『霧の向こうの不思議な町』もあげられています。

『クラバート』の中で少年が置かれているのは足枷をはめられたような陰鬱な影と彼に力を与えるような希望。ここをベースに、『霧の向こうの不思議な町』のもつ、異世界へ迷い込んだ少女が出会う不思議な世界と住人たちとのコミカルな交流が与えるワクワク感をミックスさせて、だれもが楽しめる物語に仕上げています。

「千と千尋の物語」のきっかけは宮崎駿監督が「知り合いの10歳の女の子を喜ばせたい!」と考えたことでした。この女の子は、千尋のモデルとしても知られています。

『クラバート』はわたしもたくさんの人におすすめしたいとてもよい物語なのですが、ちょっと暗い雰囲気があり、魔法学校を舞台としながらも子どもたちが好きそうな派手なシーンもないため、幼い人たちにはあまり好まれないことも。『霧の向こうの不思議な町』のユーモラスな雰囲気を融合させたことで、子どもから大人までみんなで楽しめるエンターテイメントアニメに仕上がりました。

著者オトフリート・プロイスラー

1923年10月20日生まれ。ドイツの児童文学作家。代表作の『おおどろぼうホッツエンプロッツ』は翻訳され世界中の子どもたちに読まれているベストセラー。

ウチの子たちも大好きな作品で、特に息子は小さいころ何度もこの本を読み返していました。

ブックデータ

受賞歴など

ドイツ児童文学賞
ヨーロッパ児童文学賞

映画原作

2008年に『クラバート闇の魔法学校』が劇場公開。ドイツ映画ですが、カナダで先行上映され、日本でも同年に劇場公開されています。

監督:マルコ・プロイツカウントナー

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