- 孤独死をテーマにした ライトミステリー
- 老後について考える
あらすじ
映画監督を目指す主人公らしく、映画の話題も多く映画好きにはオススメ。
アパートの管理人をしていた誠一は、一人きりで亡くなった老人の遺品を整理することになります。「アントキノイノチ」のような孤独死をテーマにした小説かと思わせて、物語は少し違う方向へ動き出す。
たくさんの人が命を失ったこと、かつてあったはずの村が地図からなくなっていること、そんなことが「あった」ことは知っている。起こった出来事をなぞることはできても、その思いまでは知り得ない。そこには「過去」という壁がある。時がたち、人々は忘れ去り、語るべき人は失われつつある。埋もれさせておきたい思いもある。
もう少し詳しく知りたいと思わせるような書き方に見事にひっかかり、関連図書ももう少し読んでみたいと思わされる。「戦争」や「限界集落」など現代人にとって「過去」になりつつある問題を掘り下げるミステリー。
震災前に書きあげた小説だが、震災で被害を受けた岩手県大船渡町の以前の美しい海の景色も描かれていて、その景色が胸に浮かぶようだった。
(BOOKデータより)
故郷の島根を離れ、映画監督を夢見る青年、門川誠一。今は大阪でアパート管理のバイトで生活をしていた。ある日、亡くなった独り暮らしの老人、帯屋史朗の遺品を整理していた時、誠一は部屋で8ミリフィルムを見つける。映っていたのは―行商のため重いリヤカーで集落へと向かいながら、優しくほほ笑む女性の姿だった。帯屋老人はなぜこのフィルムを大切に保管していたのだろう。誠一はドキュメントを撮ることを決め、映像が撮られた場所とゆかりの人たちを訪ねてゆく…。独居老人の遺品の8ミリフィルムに導かれた青年がめぐりあう、戦争という時代、ありし日の故郷、人と人との絆の物語。
単行本のタイトルは「しらない町」でした。表紙の女の子のイメージが作品とちょっとずれていたけれど、結構気に入ってたから文庫本になり、タイトルも表紙のイメージもがらりとかわり、こちらの方が物語にはしっくりきているのだけれど、なんだかよそよそしくなった気がしちゃうわたし。
老後について考える

