- 【BOOKS雨だれ】高校生におすすめ50冊!
- 現役高校生作家デビュー作の青春ライトミステリー
- 小説すばる新人賞受賞
あのころ、ぼくたちは一緒だった
町の科学館のプラネタリウム。そこに併設された図書館が、ぼくたちのいつもの場所だった。祐人、里奈、薫、春樹、あのころ、宇宙への憧れでつながっていた僕たちは、いまは別々の道を選んで進んでいる。
大学院で宇宙の研究を続けている里奈。科学館で学芸員として働く薫。実家の電気屋を継いだ春樹。そして、村役場の観光課で公務員をしている僕・祐人。
科学館の館長の葬式で久しぶりに顔を合わせた4人に少し居心地の悪さを感じているのは、久しぶりの再会だからというだけではない。宇宙への夢をあきらめた祐人は、あの頃、恋人だった里奈に後ろめたさを抱えていた。
一方、館長の孫・直哉は、薫に頼まれて中学校の校庭に落書きをする手伝いをさせられることに。理由も意味も分からないそのイタズラは学校で話題となり、その犯人がクラスメイトの河村ではないかという噂が流れてしまう。いつもカメラを持ち歩いている彼女は、以前、
落書きに込められたメッセージとは?そして、その思いは誰かに伝わるのか?…止まっていた時間が動き出す
「きっと何も写っていないけれど、撮りたくなったら、撮るしかないんだよ」そう言って、河村さんは暗闇に向かってカメラのシャッターを切った。
輝いていた日々は失ったらもう、取り戻すことはできない。いつか彼女も、撮りたいと感じた「いま」の衝動を忘れる日がくるかもしれない。それが、若さなのかもしれない。
しかし、変わらないものもある。あの頃、目を背けた期待や自分自身も、時を経えたいま、失ってしまったからこそ受け入れることができるのだとしたら、若さや自分に残された時間をかけがえのないものだと感じるように、過ぎていく時間にもやはり意味があるのだと思いたい。
ミステリー要素は少なめですが、若さを感じさせてくれるストーリーは、ぜひ著者と同年代の10代におすすめです。
著者・青羽悠
2000年愛知県生まれ。本作で第29回小説すばる新人賞を受賞して、現役高校生作家としてデビュー。16歳での同賞受賞は史上最年少。現役高校生作家のデビュー作とのことで本を手に取りましたが、高校生らしい瑞々しい感性が素直な文章でつづられ、心に風を運んでくれる清涼剤のような1冊でした。今後の作品が楽しみです。
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