人生には時折、突拍子もない出会いが飛び込んでくる。例えば、出会ったばかりの人に一目ぼれされたり(まぁこれはよい出会いだとしても)、不倫相手の子どもと旅に出たり(むむむ)、公園でホームレスをしているおじさんと一緒に暮らすことになったり(これはちょっと怖い)。
どれも不思議すぎて、自分の人生には到底怒り得ないようなありえなさだけど。でも、自分が気がついていないだけで、こんな出会いは案外そこらへんに転がっているのかもしれないのだ。
電車で本を読んでいる知らない人に、ふと声をかけてみたくなるような衝動はないだろうか。
「その本、わたしも好きです」これだって、立派な突拍子もない出会いだ。
突拍子もない出会いを求めているのではない。思いがけず、こんな出会いが自分の人生に飛び込んでくることもある、という話である。とはいえ、そんな出会いがあったとして、その時わたしはぴょんとそこに飛び乗ることができるだろうか。
この物語に出てくる彼女たちは、そんな突拍子もない出会いの衝動を素直に受けいれる。出会いこそが、何気ない毎日を楽しくしたり、明るくしたり、落ち込ませたり、うれしくさせたりする人生のスパイスだということを知っているのかもしれない。
何気ない毎日をあたたかくキラキラした時間に変える魔法は、だれもが持っている。
瀬尾まいこさんの作品はやっぱりいつも優しくて、鼻の奥がつんとする。
本の紹介とレビュー
突拍子もない出会いのはじまりを少しだけ紹介。
【もくじ】
優しい音楽/タイムラグ/がらくた効果
優しい音楽
駅の構内で出会った知らない女の子はどうやら僕に一目ぼれしたらしい。ごつごつした輪郭、腫れぼったい一重まぶた、口角が下がっていつも不機嫌そうに見える。千波ちゃんは、いったいこんな僕のどこに惹かれたのか。やがて、千波ちゃんが僕を好きな理由がわかるのだが……。
タイムラグ
不倫相手・平太が奥さんと旅行に行く間、子どもを預かることになったサツキ。おかしなシチュエーションだが、ほかに頼める人がいないと言われると断れない。平太のひとり娘。佐菜ちゃんは8歳なのにくつも揃えられるしっかりさん。とある場所へ出かけていく、ふたりのちょっと不思議な豪遊の旅の一日。
がらくた効果
章太郎とはな子は一緒に暮らしはじめて1年以上になる。はな子は、おかしながらくたを集める趣味がある。わけのわからない民芸品やカブトムシ、和太鼓、はな子の集めたがらくたに囲まれた部屋。ある日、はな子が拾って来たのは”佐々木さん”というおじさんだった⁉
本をチェックする
優しい気持ちになれる短編集です。朝読書にもおすすめ。
出版社 : 双葉社
発売日 : 2008/4/10
文庫 : 200ページ
この本もおすすめ


