重松清『希望の地図3.11から始まる物語』~震災ドキュメント小説

『希望の地図』
  • 中学生におすすめ東日本大震災のドキュメント小説
  • 日刊ゲンダイにて2011年9月より2012年2月まで連載
  • 中学校国語教科書でも紹介
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あらすじ

2011年3月11日におこった東日本大震災。被災地復興の取材を続けるフリーライター田村彰は、ひきこもりの中学生とともに東北へ向かった。被災地をたずね歩き、希望をつづるのんふくしょんノベル。
物語に登場する田村彰は、著者・重松清さんのフリーライターとしてのペンネームのひとつ。

震災の時、私が気づいたことは「人生は思い通りにはならない」ということ。もしも震災がなければ、いま自分は違う場所にいたはずだ(これは絶対)。でも震災があって、予定していたように未来は進まなかった。同じように考えている人はきっと多いはず。

ここに出てくるのは、震災で何かを失った人たち。取材の中で「みんな思い通りに生きてるわけじゃない。」という言葉が出てくる。こんな大きな地震がなければ、今ごろは違う人生があった。もっと希望があり、未来があったはずだ。事実、そうなのだろう。地震がなければ、失わなかったものがたくさんある。だが、だれも予想しなかった大きな地震がやってきて、希望や未来やたくさんのものが失われた。多くの人が、もう立ち直れないほどに打ちのめされた。しかし、現実には「こんなつもりじゃなかった」と落ち込んでいる時間はない。生きるためには、動き出さなければならない。ここに出てくるのは、自分たちの未来を作るために動き出した人たち。人生は甘くない。希望の道のりは決して平坦ではないが、立ち止まらずに進む人たちの背中を見たい人に、ぜひこの本を手渡したい。

東日本大震災を新聞やニュースでしか知る機会がないという人も少なくないのではないでしょうか。東北に実際に行ったことがない、という人にこそ読んでみて欲しいなと思う。少し、近くに感じられるといいなぁ。

心に残った書き留めておきたいことば

(P.106)期待を裏切ったっていう言葉があるだろう。あれって、考えてみれば期待を寄せる側にずいぶん都合よくできてる発想だよな。一生懸命にベストを尽くしても期待に応えられないことはある。だが、それは決して「裏切った」わけではない。「期待」ってワガママだし、一方的なものなんだよな、まったく。

(P205)俺たちの取材は『希望の地図』という題名で連載しているわけだけれど、それは『絶望の地図』と表意一体なんだよな。前に向かって進む『希望』の隣には打ちひしがれた『絶望』もあるんだ。それを絶対忘れちゃいけないんだよ。

(P212)子どもたちの未来をつくるためには、空洞化の年月があってはいけないんです。いま、やるしかない。それも大企業の工場を誘致するのではなく、小さなタネを無数にまいていくことが大事なんですよ。小さくても質のいい会社がたくさんあれば、子どもたちが就職するためにふるさとを離れる必要もなくなるわけですから。

モデルになった企業たち

ノンフィクションをもとにしたこの小説に登場する企業や施設はすべて実在します。

本作に登場する取材先のみなさん

ブックデータ

国語入試問題に出典
【2016年】佼成学園中学校

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。
出版社勤務を経て、1991年『ビフォア・ラン』でデビュー。学校を舞台に10代の心情を描いた小説も多く、多くの作品が映画化やドラマ化されベストセラーを生み出している。国語入試問題によく出典される作家としても、10代にお薦めしたい作家。
【主な受賞歴】
『ナイフ』坪田丈二郎文学賞受賞
『エイジ』山本周五郎賞受賞
『ビタミンF』直木賞
『十字架』吉川英治文学賞

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