空が青いから白をえらんだのです―奈良少年刑務所詩集

『空が青いから白をえらんだのです』
  • 10代の詩・ことば
  • 奈良少年刑務所の子どもたちから生まれた57編の詩集

言葉が、詩が、なぜこの世に生まれてきたのか、その意味を教えてくれるような詩集。

厚生プログラムで詩を学ぶ

奈良少年刑務所で行っている厚生教育である「社会性涵養プログラム」。童話作家の寮美千子さんはこのプログラムのひとつとして、受刑者である子どもたちに「童話と詩」の授業をしています。ここで紹介されているのは、授業の中で子どもたちから生まれた作品を中心に編んだもの。

きっとこれまでに、上手に言葉を吐き出すことを教わってこなかった子たちなのだと思う。上手に生きるためには、溜まった鬱屈をうまく吐き出すことが必要なのだと、私もこの年になり、やっと知った。

言葉は吐き出すひとつの手立てにもなる。

笑う、泣く、喜ぶ、怒るなど日常にあるあたりまえの感情を出すのが苦手な子どもたちから出てくる、無垢でまっすぐな言葉たち。

少年たちのまっすぐすぎるはだかの言葉は、まっすぐにガツンと心に響く。

特に、お母さんをテーマに読まれた詩は、泣けてしょうがない。10代はもちろん、世のお母さんたちにも手に取ってほしい本。

ブックデータ

文庫: 209ページ
出版社: 新潮社
ISBN-13: 978-4101352411
発売日: 2011/5/28

*続編も刊行されています*


おまけ:奈良少年刑務所

明治41年に建てられたなら少年刑務所。日本最古の近代刑務所である明治五大監獄のなかで、唯一、当時の建造物の全貌が現存しています。

この奈良少年刑務所の明治の煉瓦建築が、2016年10月22日に「旧奈良監獄」として、国の重要文化財に指定されることが決定しました。2017年3月には、同刑務所は廃止され、閉鎖後は、「監獄ホテル」として活用される予定です。奈良刑務所を映した写真集も出版されています。

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