杉浦日向子『百日紅』

葛飾北斎と娘・お栄との日常を描く、江戸系漫画。

浮世絵画家・北斎と江戸の日常

江戸風俗研究家・杉浦日向子さんが描く北斎の江戸の町。
実は、彼女が漫画を描いていたとは知らなかったのです。

日本が誇る浮世絵画家・葛飾北斎と、北斎の画才を受け継いだ次女のお栄、そして江戸の人たちの暮らしぶりがうかがえます。さばけていても純なお栄の好感度が高かったのはもちろんのこと、北斎とお栄ふたりの気ままな生活ぶりが気に入った。特に、散らかしっぱなしの部屋の中で、自分だけの創作に打ち込めるのは、もう憧れだわ。

書店で本棚をざっと探すも見つけられず、書店員さんに尋ねると、すぐに持ってきてくれるという。ところが、なんだか様子がおかしい。バタバタと探しまわる店員さん。私も一緒になって、ちくま文庫の棚、時代小説の棚、あげく私が「漫画なのですが、もしかして…」なんていうものだから、漫画コーナーまでくまなく見てあるくが、出てこない。在庫は5冊あるというのに不思議。気づくと書店員さんは3人に増え、大がかりな捜索隊となっている。「ちょっとどんな本かめくってみたかったんです」 な~んてことは言えず、「おまたせしました~」と笑顔で手渡してくれた本を、しっかりお持ち帰りさせていただきました。

きわどい春画や艶っぽいシーンもちらほらあり、学校図書館への購入検討は見送りますが、リアルな江戸の暮らしぶりを知るにはとてもいい漫画。子どもたちにもこっそり読んでほしいので(なぜこっそり)、購入して正解。

余談ですが…男娼なんて職業があったんですね・・・

アニメ映画「百日紅」

2015年5月劇場公開
【監督】原恵一
【キャスト】お栄:杏、葛飾北斎:松重豊
【主題歌】椎名林檎「最果てが見たい」
日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞ほか海外の映画賞でも受賞。
2016年にはアメリカでも公開。

ブックデータ


文庫: 358ページ
出版社: 筑摩書房
発売日: 1996/12/1

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