E.B.ホワイト『シャーロットのおくりもの』~友だちを思う気持ちが奇跡をおこす

E.B.ホワイト『シャーロットのおくりもの』POP:友だちを思う気持ちがすできな奇跡をおこす!
  • この物語は「ほんとうにすばらしい友だちはかんたんには得られない」ってことを教えてくれる
  • おもしろくて、胸が熱くなるハッピーエンド
  • 子どもも大人も楽しめる海外ベストセラー小説

本の紹介

物語のはじまりは、優しくて勇敢な女の子・ファーン。

ある朝、ブタの赤ちゃんが生まれた。そのうちの一頭は、とても小さくて、弱くて、どうやったって大きくなれっこない、できそこないだった。残念ながら、父さんはそのブタをしまつすることにした。どっちにしたって生きていけそうにないのだから、仕方がない。それを聞いて、ファーンは、オノを持つ父さんの前に飛び出して大泣きした。

こんな不公平なことが許されていいはずがない。

「小さく生まれたのは、赤ちゃんのせいじゃないでしょ?もしわたしが生まれたとき、とっても小さかったら、父さんはわたしをころしてた?」

むすめの必死の涙に、父さんまで泣きそうになってしまった。

「それなら、そのブタを育ててみなさい。ブタを育てるのがどんなに大変なことかわかるだろう」

命びろいした子ブタはウィルバーと名付けられ、ファーンによって大事に育てられた。しかし、いずれは売られてしまうのが子ブタの宿命。すくすくと育ったウィルバーは、ファーンのおじさんの農場へと送り出される。

こうして、ウィルバーはザッカ―マン農場で暮らすことになる。農場には、馬や雌牛や羊たち、それからガチョウのおばさんやネズミのテンプルトンもいて、それは毎日にぎやかだ。愛情たっぷりに育てられ、快適な納屋とご飯があり、たくさんの仲間がいる、不自由のない暮らしにありながらも、ウィルバーはさみしさを感じていた。ウィルバーには足りないもの、それは、友だちだった。

そんなウィルバーの前に、シャーロットが現れる。出会った当初、ウィルバーはこの新しい友だちのことを好きになれそうもない、と思った。シャーロットときたら、あらっぽくて、情け知らずで、ずるくて、血に飢えている。ウィルバーとシャーロットは、生き方も考え方もまったく違う。けれども、やがてウィルバーは自分が間違っていたことに気づく。いくつもの時間を過ごし、語り合い、お互いを知ることで、誤解は薄れていく。そして、ピンチに直面した時こそ、その人の本当の姿が見える。

さみしがりやで甘えん坊のウィルバーにも、ピンチがおとずれる。そう、いずれは売られてしまうのが子ブタの宿命なのだ。友だちのピンチを救うため、シャーロットは考えに考えて、すばらしい名案を思い付く。

だれでもみんな、シャーロットのような友だちに憧れるだろう。さみしい時にそばにいてくれて、自分のために一生懸命になってくれる誠実な友だち。気の合う友だちは簡単に見つかっても、ピンチの時に支え合えるほんとうの友だちは簡単には見つからない。間違ってはいけないのは、友だちとは理想を偶像化させる対象ではない、ということ。ウィルバーがシャーロットの本当の優しさや賢さに気づかないままだったとしたら、子ブタはとっくにハムになっていた。

ごく当たり前にみえる日常のささいな出来事にも、驚きや奇跡がかくれている。小さな出会いから友情が生まれるように。

映画「シャーロットのおくりもの」原作

2006年映画化。
小さい子どもからおじちゃん、おばあちゃんまで、家族みんなで楽しめる映画。ちなみに、撮影には50匹以上の子ブタがスタンバイしていて、大きくなったら小さい子ブタと交代しながら映画に登場していたそう。なんともかわいいエピソード。映画も楽しいけれど、原作の感動は大きい。好きな人は、どちらもみてほしい。

【監督】ゲイリー・ウィニック
【出演】ファーン:ダコダ・ファニング、シャーロット:ジュリア・ロバーツ、テンプルトン:スティーブ・ブシェミ、ウィルバー:ドミニク・スコット・ケイ

本をチェックする

小学校高学年からおすすめ、大人にも読んでほしい海外でもベストセラーの児童書。

朝読書、読書感想文にもおすすめです。

単行本: 223ページ
出版社: あすなろ書房
発売日: 2001/2/10

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