中脇初枝『きみはいい子』

あぁ、ほらやだ。
数ページ読んで、気が重い。

新任教師が初めての担任で、一年生が学級崩壊をしている。

暗くなるまで家に帰れない子どもがいる。

自分の居場所を探さなくちゃ見つけられない人がいる。

サンタさんが来ないのは、自分が悪い子だからなのだと。
母親に好かれないのは、自分が世界で一番わるい子なのだからと。
本気で思う子どもたち。

どれも、すごくよくできたおはなし。
だけれども、本の中の嘘のおはなしだとは言えないリアル。

こどもである以上、逃げるところなんて、世界中どこにもない。

やりきれない。

でも、

ぴしゃりと払われたまま行き場のなかった小さな手のひら
―ただ手をつないで欲しかっただけなのに
ずっとそのまま伸ばしていた指先が、

少しだけだれかとつながったような
つめたいかなしみに、小さなぬくもりがふれるような物語でした。

受賞歴など

受賞歴など
第二十八回 坪田譲治文学賞 受賞
本屋大賞2013年第4位
第一回静岡書店大賞 小説部門 受賞
キノベス! 2013 第2位
国語入試問題に出典
私立中学校国語入試問題
【2015年】宝仙学園中学校

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文庫: 329ページ
出版社: ポプラ社
ISBN-13: 978-4591139752
発売日: 2014/4/4

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