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あらすじ
十月四日の早朝、鳥取県境港市蜷山の山腹で、少女のバラバラ遺体が発見された。身元は市内に住む中学二年生、海野藻屑さん・・・。その遺体を最初に見つけたのは、なぎさだった。
山田なぎさ(十三歳・中二)のクラスにやってきた転校生はちょっと変わっている。名前は海野藻屑だし、父親は地元出身のかつての有名人・海野雅愛。そして海野藻屑は自分のことを「人魚」だという。
「ほんとはね、ほんとの友達を探しにきたの。大事な友達。ぼくのためにすげーがんばってくれるいい感じの友達。そいつが見つからないと、海の藻屑になっちゃうの」
「ふーん……。へー……。みつかるといいね」
「山田なぎさ。あんただといいな」
一方、なぎさはこの錆びれた港町を出ていくために社会で戦うための実弾を必要としていた。早く大人になるために必要な、生活に打ち込む、本物の力。
これは、まだ実弾を持たない少女たちの戦いの物語。
子どもにとって、今の社会は生存競争のような場所でしかないのだろうか。
「生き残った子だけが大人になる」
小説の中で語られるそんな当たり前のセリフが奇跡に思える。
ブックデータ
文庫: 201ページ
出版社: 角川グループパブリッシング
発売日: 2009/2/25
【受賞歴】
2006年「このライトノベルがすごい!」第3位
2008年、杉基イクラにより漫画コミック化(富士見書房)
2004年富士見ミステリ文庫より文庫本が刊行
2007年富士見書房より単行本が刊行
2009年角川文庫より文庫本が刊行
ライトノベルの先駆け的小説。文庫本で刊行されたライトノベルがその後単行本で発売され、さらに文庫化されるのは、当時としては異例でした。
富士見ミステリー文庫より最初に刊行された文庫本は、ロリータ風のあどけない少女が描かれた萌え系の表紙で
私はもう大人としてしかこの本を読めないけれど、10代でこの本に出会っていたら、もっと心に痛く響き、強く揺さぶられただろうと思う。少女たちは純粋で美しく、無力で悲しい。
こういう本、中学生の時に読みたかったなぁと思う。
漫画
2008年杉基イクラの作画で漫画化。
著者プロフィール
1971年島根県生まれ、鳥取県育ち。
1999年「夜空に、満天の星」でファミ通エンタテイメント小説部門佳作を受賞し、デビュー。代表作に『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』『GOSICK-ゴシック』など。
【受賞歴】
『赤朽葉家の伝説』第60回日本推理作家協会賞/吉川英治文学新人賞
『私の男』第138回直木賞
『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』が気に入ったらこの本もおすすめです。