まはら三桃『鉄のしぶきがはねる』~工業高校系青春小説

『鉄のしぶきがはねる』

単行本: 242ページ
出版社: 講談社
発売日: 2011/2/25

  • おすすめ:中学生・高校生向け
  • 工業高校を舞台にものづくり青春小説
  • 国語入試問題によく出る小説です

本の紹介(あらすじ)

工業高校機械科1年唯一の女子・三郷心(しん)が、高校生ものづくりコンテストに挑む青春物語である。
旋盤に青春をかけるなんて。このさわやか感、ものすごくいい。
工業系女子をヒロインにした中高生向きの作品なんて、これまでにないよね。鉄を切削するときのシュルシュルシュルルーという音のような透明感は、まさに主人公の心そのもの。もちろん、淡い恋心やら仲間との右往曲折もあり。

〈高校生ものづくりコンテスト〉は、〈ものづくり甲子園〉とも言われている。高校生が目指すものづくりの頂点だ。旋盤作業、自動車整備、電気工事、電子回路組立、化学分析、木材加工、測量といった工業技術を各部門ごとに競い合う。

(本著には書かれていなかったが、橋梁模型製作なる部門もあるらしい)
この本を読むまで、そんな大会の存在すら知らなかった。
旋盤とは切削技術のことなのだが、なんでもかんでも『削る』というのではないらしい。

旋盤を使えば『削る』とか『挽く』、ドリルで穴をあけるのは『揉む』。平面をかき削る時は『きさぐ』。おんなじ『削る』でも、ほんのちょっとの時には、『さらう』とか『なめる』という表現になる。

鉄の加工の仕方によって、言葉も変わるらしい。まるで『舟を編む』にでてきそうなくだり。
旋盤に限らず、ものづくりが好きな人、カッコイイ女子が読みたい人におすすめ。

本をチェックする

受賞歴
第27回 坪田譲治文学賞
平成23年度 厚生労働省 社会保障審議会推薦 児童福祉文化財 特別推薦
国語入試問題によく出る本
公立高校国語入試問題に出典
【2012年】兵庫県/香川県/熊本県
私立中学校国語入試問題に出典
【2018年】金城学院中学校

著者プロフィール

まはら三桃

1966年福岡県北九州市生まれ。

2005年「オールドモーブな夜だから」で第46回講談社児童文学新人賞佳作を受賞。『カラフルな闇』とタイトルを改題しデビュー。

2011年『鉄のしぶきがはねる』で坪田譲治文学賞を受賞。中高生を主人公にした児童文学は国語入試問題にも多数出典。小学校高学年から中学生におすすめの作家。

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