アレックス・シアラー『青空のむこう』

  • おすすめ:小学校高学年から中学生
  • 死んでしまった少年のやり残したこととはいったい…
  • 世界中でベストセラーの児童書

もし、きみがまだ生きていて「もう手遅れだからあきらめよう」と思っていることがあるとしたら、この本を手に取って読んでみて欲しい。

主人公のハリーはどこにでいる普通の男の子。ある日、交通事故で突然死んでしまう。よくわからないままに<死者の国>につくと、そこはやり残したことがある人たちであふれていた。彼らはやり残したことがあるために、ここから出られずにいる。
<死者の国>で出会ったアーサー(オリバー・ツイストに出てきそうな古めかしい服を着ている。きっとその時代からずっとここにいる)は、ここでずっとお母さんを探しているのだという。

ここにいるということは、ぼくもまた、やり残したことがあるからなんだ。

やり残したことをやり終えるために、ぼくはアーサーと一緒に、かつて生きていたあの世界へ行く。アーサーのやり残したこととは何なのか?

すでに死んでしまっているのに、死後の世界にいるハリーはどこか明るく楽観的。しかし、そんなハリーも自分がいない世界の現実を目の当たりにし、寂しさや悲しみを受け止め、自分の<死>と向き合っていく。

明日死ぬかもしれない、なんて考えて生きるのはどこかナンセンスでもある。明日があると知っているから安心して、今日を終えることができるのだから。でも明日って、本当は永遠じゃない。そんなことを意識させられる1冊。

死をテーマにしているのに、読み終えて「よかった」という安心感をくれる、不思議な物語です。明るい語りに救われる、切なく胸に迫る物語。 大人にもおすすめできる、良質の児童書です。

人生は一度きりしかないから、生きているうちならなんだって「もう遅い」なんてことはないことに気づいてくれるとうれしいな。

本の紹介(あらすじ)

ある日突然、交通事故で死んでしまったハリー。
<死者の国>は、たくさんの人であふれていた。そこで出会ったアーサーと一緒に、ハリーはやり残したことをやり遂げるため、生者の国に降り立つのだが…。

「汝の怒りの上に日を沈ませてはならない」
つまり、だれかに腹を立てたり恨みをもったまま、眠りについてはいけないって意味だ。相手が愛してる人ならなおさらだ。だって、翌朝どっちかが目を覚まさないかもしれないんだから。
そうなったら、どうなる?
(本文218ページより)

ブックデータ

著者:アレックス・シアラー
訳:金原瑞人
単行本: 245ページ
出版社: 求龍堂
発売日: 2002/5/1

表紙もすごく綺麗。原題は『The Great Blue Yonder』

The Great Blue Yonder (PB)
Macmillan Children's Books

ペーパーバック: 192ページ
出版社: Macmillan Children’s Books
発売日: 2002/4/12

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