ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』

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湿地の少女

ノース・カロライナ州の湿地で死体が発見された。男の名前はチェイス・アンドルーズ。彼の死は、自殺かそれもと他殺なのか。町一番のハンサムで、成功を手に入れ、だれからも愛されている青年の死にはいくつかの不審な点があった。やがて人々は、”湿地の少女”に疑いの目を向ける。

カイヤは湿地の奥に住んでいる。家族は幼い少女を置いて、みんな去って行った。以来、たったひとりで湿地のみすぼらしい小屋で生きてきた。

7歳の少女がいったいどうやってひとりで生きていけるだろうか。本当の孤独の中では、人間は生きていくことはできない。そう、彼女はずっと”たったひとり”だったわけではない。湿地で拾った貝をシャンピンの店で買い取ってもらい、生きるために必要な食料や物資を手に入れた。学校へも一度だけ行ったことがあるが、みんなに笑いものにされたカイヤは”人々”にさらに強い警戒を抱くようになる。かわいそうなカイヤ。文字を読むこともできず、お金を数えることもできない、自分の年齢も本当の名前も知らないのだ。ある日、カイヤはひとりの少年テイトに出会う。テイトはカイヤに読み書きを教えるようになり、ふたりの間に恋が芽生えるのだが…大学へと進学したテイトは彼女のいる湿地には戻らなかった。深い孤独の中に戻った少女の元へ、ひとりの青年が近づいてきて…。

雄大な自然の中で生き抜くたくましさと、少女の抱える孤独、喜びや悲しみの感情に心揺さぶられます。

著者は、動物学者のディーリア・オーエンズ。自身初の長編小説ですが、これまでに専門分野のノンフィクションをいくつも出版しています。動物学者ならではの視点で描かれた、湿地の豊かな状況描写やそこに生きる動物たちの生き生きとした動態描写の美しさも、この小説の読みどころにひとつ。ミステリーにとどまらない、ひとりの少女の生きざまに触れる物語。

(あとがきより)
この作品のジャンルを特定するのは難しい。フーダニットのミステリであると同時に、ひとりの少女の成長譚とも、差別や環境問題を扱う社会派小説とも南部の自然や風土を描いた文学とも捉えることができる。それほどに奥行きのある作品だということなのだ。

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出版社 : 早川書房
発売日 : 2020/3/5
単行本(ソフトカバー) : 512ページ
ISBN-13 : 9784152099198

500ページ以上の長編小説ですが、カイヤの感情の揺さぶりに集中しすぎて一気読みでした。中学生以上、高校生におすすめです!(個人的にはYA文学のジャンルだけど、一般文学になるのかな)読む人によってさまざまな視点で読める小説だと思います。

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ゆう

ぶっくす雨だれの店主。
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