朽木祥『光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島』

朽木祥『光のうつしえ』
  • 中学生・高校生に読んでほしい本
  • 広島を舞台にした原爆について知る物語
  • 読書感想文にもおすすめの本

25年目の真実

戦後から25年後の広島。
灯篭流しの夜、中学1年生の希未(のぞみ)は見知らぬ老婦人に声をかけられる。
希未の年を聞き、希未の母の年齢を必死に尋ねる老婦人の姿に、彼女が探しているのは母ではないかと、希未は思う。

一方、美術部の顧問吉岡先生が病気で休職することになり、先生が入市被曝していたことを知る。入市被曝というのは、原爆投下後に救助のために市内に入ったことで被曝したことをいう。

希未たち美術部は文化祭の作品テーマを「あのころの廣島とヒロシマ」として、身近な人たちにあの日までの廣島とあの日のヒロシマでどんなことがあったのか話を聞くことに…。
同じ景色を描いた何枚もの絵。家族を失いひとりぼっちになってしまった女性。最後まで生徒をかばった先生。

突然に日常を断絶されてしまった残された人たちの後悔の思いに涙が止まらないのは、ただ健気に生きようとする日々への願いがいまに生きる私と同じだと気付いたから。
戦後に生まれた子どもたちが、身近でありながら実はよく知らなかった戦争を知ろうとする。

ブックデータ

2014年ドイツのミュンヘン国際児童図書館が発行する国際推薦児童図書目録、ホワイト・レイブンズに選定。

私立中学校国語入試問題に出典

【2017年】清泉女学院中学校

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著者の朽木祥さんは被爆2世として、原爆のこと広島のことを物語に残し伝えています。『八月の光』もぜひ合わせて読んでみてください。