- 音楽が好きな人におすすめ
- ピアノ・調律師を描いた小説
- 2016年本屋大賞第1位ほか国語入試問題にも出典
あらすじ
その人がピアノの蓋を開けて、鍵盤を叩いた。放課後の体育館に、森の匂いがした。
秋の夜になりかけの時間の森の匂い。
これまでにも、何度も見てきたはずのその大きな黒い楽器をぼくはその時はじめて見た気がした。
楽器にも音楽にも縁のなかった少年は、調律という仕事に魅せられ、ピアノの調律師を目指す道へと進んだ。
憧れの調律師である板鳥さん、先輩の柳さんや天野さん。それぞれに目指す調律師としての姿を受け止めながら、少年もまた調律師として成長していく。
ひとつひとつの言葉が、おだやかであたたかく瑞々しく光る。書き留めておきたい言葉がたくさん詰まっています。
調律師を目指すきっかけでもある板鳥さんが理想の調律について原民喜さんの文章を引用するシーンがあります。この物語そのものを表しているような印象的なフレーズです。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少し甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
読み終えた後、ほうっとため息が出るような余韻の残る物語。
お気に入りフレーズ
音楽は人生を楽しむためのものだ。はっきりと思った。決してだれかと競うようなものじゃない。競ったとしても勝負はあらかじめ決まっている。楽しんだものの勝ちだ。
映画「羊と鋼の森」
ブックデータ
文庫: 274ページ
出版社: 文藝春秋
ISBN-13: 978-4167910105
発売日: 2018/2/9
受賞歴など
2016年本屋大賞第1位
第154回直木賞候補
2016年 キノベス! 第1位
2015年 ブランチブックアワード大賞
2018年二十歳が一番読んだ本ランキング第2位
国語入試問題に出典
公立高校国語入試問題に出典
【2018年】東京都立高校
【2015年】石川県公立高校
国立・私立中学校国語入試問題に出典
【2018年】筑波大学附属駒場中学校
【2017年】六甲学院中学校